自民党の森山裕国対委員長は12日の与野党国対委員長会談で、昨年一度も開かれなかった党首討論の頻繁な開催といった国会改革を提起した。22日召集の通常国会で、円滑に党首討論を開くための環境整備や閣僚の国会出席のあり方をめぐるルールの確認を求めた。だが、野党側は首相の国会出席の縮小につながることを警戒しており、実現の道のりは険しい。
「通常国会で、いつでも党首討論が開ける態勢を整えたい」
森山氏は今年初めて行われた与野党国対委員長会談でこう述べ、協力を求めた。海外出張中の閣僚に代わり副大臣らによる代理答弁を認めた平成26年の与野党7党申し合わせの順守も重ねて要求した。総務委員会など一部の常任委員会の開催定例日が衆参で同じ曜日であるため、国会全体の法案審議が遅れる事態を改善するため、定例日の見直しも検討課題に挙げた。
党首討論は12年に国会改革の柱として導入された。26年には与野党7党が党首討論の月1回開催を確認し、首相の国会出席を党首討論と予算委員会の基本的質疑などに限ることも申し合わせた。
いずれも自ら交わした約束だが、与野党とも長年にわたり放置してきた。特に野党側が1回45分の党首討論よりも、首相を約7時間追及できる予算委員会の開催を優先してきたからだ。
12日の会談でも、立憲民主党の辻元清美国対委員長は「まさか党首討論を開くからといって、首相の予算委への出席日数を減らすなどということはないでしょうね」とくぎを刺した。森山氏は「毛頭考えていない」と応じたが、野党には警戒感がくすぶる。副大臣らの代理答弁も、閣僚を攻撃できる機会の減少につながるため、野党には慎重論が根強い。
逆に辻元氏は国会質問時間の配分をめぐり、昨年の特別国会で与党側が野党の配分割合を縮小した経緯を踏まえ「私たちが納得いくあり方が担保されないと、なかなか審議は難しい」と牽制(けんせい)した。
ただ、与党に強気の態度で臨む野党の足元はおぼつかない。現在、民進党と希望の党は統一会派結成に向けた協議を進めているが、仮に実現すれば衆院では野党第一会派が現在の立憲民主党から代わる。筆頭会派すら流動的な状況で与党側と協議する環境が整っていないのも現状だ。(田中一世、小沢慶太)