東京株、約26年ぶり高値圏も「バブル」は否定 好調な企業業績が裏付けに

 日銀のさくらリポートで国内景気の緩やかな拡大が確認される中、東京株式市場では日経平均株価が約26年ぶりの高値圏で推移している。15日は4営業日ぶりに反発し、終値は前週末比61円06銭高の2万3714円88銭。昨年秋以降の大幅な株高で「バブル」をいぶかる声も一部にあるが、「稼ぐ力」を高めた日本企業の好調な業績という裏付けがあり、「バブルではない」との見解が多い。

 「バブルとはまったくかけ離れている」。野村証券の若生寿一エクイティ・マーケット・ストラテジストは足元の日本株についてこう言い切る。企業の「1株当たり利益(EPS)」や「株価収益率(PER)」といった「教科書の枠組みの中で株価が形成されている」とみているためだ。

 株高の原動力は企業業績の好転だ。野村によると、主要企業の経常利益の合計は平成25~28年度に最高益を続け、29、30年度も最高益の見通し。リーマン・ショックに端を発した世界同時不況を受けて構造改革が進み、筋肉質になった。

 PERは企業の利益水準をもとにして、株価が割高か割安かを判断する際の目安。平均株価が史上最高値(3万8915円)を付けた元年12月は70倍強に達していたが、足元は16倍弱と、過去5年の平均水準(13~16倍)に収まっている。また世界景気の拡大が続く中でも物価上昇は緩やかで、低金利が維持され、「適温経済」と呼ばれる状態にあることも投資家に安心感を与えている。

 一方、東京証券取引所1部の時価総額は足元で約700兆円まで膨らみ、29年7~9月期の名目国内総生産(GDP)の約549兆円を3割弱上回っており、株価の過熱感を示唆する向きもある。ただ、そうした意見は「まだ少数派」との声も強い。