【ワシントン=塩原永久】トランプ米大統領は1月30日の一般教書演説で、インフラ整備をはじめ一段と高い成長を後押しする政策を推し進める方針を示した。産業界や投資家は「トランプ景気」にさらなる期待を寄せる。ただ、新たに政府機関の閉鎖が発生する懸念など景気に冷や水を浴びせかねない問題への対応も間近に迫る。
インフラ整備は演説で示す経済政策の目玉になるとみられていた。官民連携の投資規模としてトランプ氏が示した1兆5千億ドル(約163兆円)は、昨年末に提示した「10年間で1兆ドル」を大きく上回り、意欲的な計画を打ち出した。
道路や橋、鉄道などのインフラは広大な国土で国民生活の基盤となり、歴史的にも政府主導の整備計画は景気対策となってきた。右肩上がりの株価に沸く株式市場では、インフラ関連の土木・建設企業が「買い」の銘柄になるとの期待も浮上していた。
ただ、トランプ氏は計画の詳細に踏み込まず、投資額の内訳で焦点となる連邦政府の支出規模を明らかにしなかった。政府支出の増大を懸念する声が、財政悪化に批判的な与党・共和党内の一部で根強いためだ。
インフラ整備の法案成立には野党・民主党の協力も不可欠となり、実現に向けたハードルは低くない。
トランプ政権の財政運営をめぐっては1月下旬、与野党対立の影響でつなぎ予算案採決に失敗し、政府機関の一部が3日間の閉鎖に陥った。新たなつなぎ予算も2月8日の期限が迫っている。税制改革を実現し、さらに高い成長率を目指す政権はインフラ整備を優先課題と位置づけるが、市場では景気過熱への警戒感も出ている。