パキスタンで、バレンタインデーの花やチョコレートなどの販売を警察が厳しく取り締まり、街中から「バレンタイン」の宣伝文句が消えた。裁判所が昨年、国教のイスラム教に反するとして禁止令を出したため。売り手側からは悲鳴が上がり、若者は反発している。
パキスタンは婚前交際に厳しいが、バレンタインでは都市部を中心に、男性から女性に赤いバラや風船、チョコなどを贈るのが定番だ。ここ数年は関連商戦も白熱していた。しかし「バレンタインはイスラム教に反して不道徳、破廉恥だ」との市民の申し立てを受け、イスラマバード高裁は昨年2月13日、公の場で祝うことを禁じる命令を出した。
イスラマバード市内のスーパーでは今年も出入り口にチョコが山積みされていたが、昨年まであった派手な広告はない。大学生のマムタズさん(20)は「バレンタインと宗教は別で、個人の自由だ。禁止令なんてばかげている」と語気を強めた。(共同)