浸水想定域に3540万人居住 世帯数25%増、郊外で宅地開発進む (1/2ページ)

西日本豪雨で浸水した岡山県倉敷市真備町地区=7月
西日本豪雨で浸水した岡山県倉敷市真備町地区=7月【拡大】

 国や都道府県が指定した河川の洪水による浸水想定区域に住んでいる人は、2015年時点で約3540万人に上り、20年前の1995年と比べて4.4%増えたことが、山梨大の秦康範准教授(地域防災)の調査で17日、分かった。世帯数は約1530万世帯で、24.9%と大幅に増えた。

 秦准教授は、郊外を中心に浸水想定区域の人口や世帯が増えたと指摘。要因を「中心市街地は大規模な開発が難しいため、手ごろな価格で土地や住宅を確保できる郊外で開発が進んだ」と分析する。今後の対応としては、既に住んでいる人への啓発や、危険性に応じた土地の利用規制、開発の抑制を挙げた。

 浸水想定区域や、市町村が策定するハザードマップは、各機関のウェブサイトなどで公表されている。15年の関東・東北豪雨で鬼怒川が氾濫した茨城県常総市や、西日本豪雨で大規模な被害が出た岡山県倉敷市真備町地区もおおむね想定通りに浸水が起きた。

 調査は、11年度時点の浸水想定区域の地図データと、95年から15年まで5年ごとに実施された5回の国勢調査の結果を利用し人口と世帯数を割り出した。

 日本の総人口は10年を境に減少に転じた。一方で浸水想定区域内の人口は95年に約3390万人だったのが05年に約3480万人となり、その後も増加。世帯数も95年の約1220万世帯が、05年に約1390万世帯と増え続け、20年間で見ると約150万人、約300万世帯の増加となった。

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