国が実施する労働災害防止活動を推進する「全国安全週間」が1日に始まり、建設業界では安全対策の徹底が呼びかけられた。厚生労働省が発表した昨年の労働災害の発生状況によると、労働災害による死亡者数の3割は建設業が占めており、業種別で最多。建設業界は事故の減少を目指して安全意識の向上に取り組んでいる。
1日朝、東京都中央区で進むタワーマンションの建設現場。鹿島の天野裕正社長が視察に訪れ、現場で作業する協力会社社員ら約400人に「休業災害をゼロにするため、不休災害をゼロに近づけることが大切。事故をなくそうと心の持ちようを変えなければならない」と訓示した。
厚労省のまとめによると、建設業で死亡したり4日以上の休業を強いられるけがを負ったりした人数は、製造業、陸上貨物輸送事業に次いで多い1万4977人(前年比206人減)。建設業事故の型別では、死亡災害、死傷災害ともに「墜落・転落」が最多だった。
全国安全週間は昭和3年から始まり今年で94回目。厚労省によると、労働災害は長期的には減少しており、昨年の労働災害による死亡者数は3年連続で過去最少となる見込み。一方、休業4日以上の影響が出た労働災害による死傷者数は、高齢者の労働災害が増加傾向にあることなどから、平成14年以降で最多となる見通しという。