数字から見えるちば

    花卉の産出額全国2位 新規需要開拓カギに

    千葉県の花卉(かき)産出額(令和元年)は、愛知県(545億円)に次いで全国2位(174億円)となっている。千葉県は、大消費地である東京に隣接する立地から、摘みたての元気な花を出荷できる優位性があり、温暖な気候に恵まれた南房総地区を中心とした花摘みの観光は早春の風物詩となっている。

    もっとも、足許の花き産業の経営は厳しい。ライフスタイルの変化や輸入の増加による需給の引緩みに加え、令和2年以降は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、結婚式や入学式、卒業式など各種イベント等が中止・縮小され業務用需要が急減した。さらに、個人の贈答需要も低迷し、長期保存ができない切り花の「フラワーロス」が多発した。

    このような事態を受けて、地域金融機関やJR東日本千葉支社などは、県産花を活用したディスプレイ装飾を行い、地元の花農家を支援した。県も、高品質・安定生産の推進や担い手の育成、県産花植木の需要拡大などに取り組むなか、2年12月に策定した「第2次千葉県花植木振興計画」(3~7年度)では、花き類産出額を7年度に207億円に引き上げる意欲的な目標を掲げている。

    こうしたなか、今秋、県が10年かけて開発した君津地域特産の「カラー」の新品種「Brilliant・Bell(ブリリアント・ベル)」がデビューした。従来の品種より病気に強く、クリームがかった白色と、フラワーアレンジメントやブーケに使いやすい小ぶりな花が特徴だ。アフターコロナを展望すると、こうした新たな品種のブランド化のほか、花のサブスクリプション販売、ネット販売等、家庭や職場での利用拡大が見込める新たな需要への対応力強化が花き産業発展のカギを握っている。

    新型コロナ感染者の減少に伴う経済再開の動きから、今後はイベント関連需要も徐々に回復することが見込まれるが、自宅でも県産の花で部屋を彩り、季節を感じたい。(ちばぎん総研研究員 大塚裕美)


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