【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の金日成(キムイルソン)主席の弟、金英柱(ヨンジュ)・元最高人民会議常任委員会名誉副委員長が死去していたことが15日、分かった。英柱氏は日成氏の有力な後継者候補と目され、一時、政権ナンバー2とみなされながら、金正恩(ジョンウン)・現朝鮮労働党総書記の父、金正日(ジョンイル)総書記との後継者争いに敗れた。
朝鮮中央通信が15日、正恩氏が英柱氏の死去に深い哀悼の意を示し、14日に弔花が霊前に届けられたと報じた。死去の日時は不明。英柱氏は日成氏の8歳下の1920年生まれとされる。最近まで存命していれば100歳を超え、金一族の中でも最長寿格となる。
英柱氏は、モスクワ大を卒業し、党組織指導部長や党書記を歴任。72年の韓国との共同声明に北朝鮮を代表して署名し、存在感を示した。74年に副首相に就いたが、翌年から動静が途絶えた。権力争いに敗れ、僻地(へきち)に送られたとされる。
93年に公の場に再登場し、権力掌握を確実にしていた正日氏によって国家副主席に選出された。最後に動静が伝えられたのは2015年に地方選挙への参加を報じたものだった。最高人民会議常任委名誉副委員長職は19年に廃止された。






























