山形県飯豊(いいで)町で栽培されてきたコクワの葉でつくったこくわ紅茶「いいであい」ができ上がり、販売が始まった。スッキリした味ながら深みを持つ紅茶で、開発した栽培農家の八嶋剛寛(やしまたけひろ)さん(35)は「コクワの葉を使った紅茶は世界で初めて。希少な味わいを楽しんでみてほしい」とし、地域の活性化に役立てたいと意気込む。
珍重されてきたコクワ
コクワは、標高600メートル以上の山岳地帯に自生するマタタビ科の落葉性つる植物サルナシの果実。6月ごろに梅のような香りの花を咲かせ、9月ごろに緑色の甘い香りのする果実をつける。キウイフルーツに似た味で、滋養強壮の果実として珍重されてきた。
飯豊町では、町内に自生していたコクワを、水田の転作作物として昭和60年ごろから栽培してきた。10軒ほどの農家に広がり、コクワの実を使ったワインなどをつくってきた。
八嶋さんの家でも祖父の代からの30年以上、コクワを栽培。八嶋さんは大学卒業後、千葉県内で会社員をしていた平成31年、父親の吉光さん(67)から「そろそろ戻ってきて農業を継がないか」と言われた。「どうせ継ぐなら、地元、地域のためになることをしたい」と、生産から加工、販売まで担う「6次産業」化できるものを目指そうと考えた。
フレーバーティーに
思案する八嶋さんが出会ったのが、宇都宮市で「世界のお茶の専門店『Y‘s tea』」を営む根本泰昌さん(49)。八嶋さんは、根本さんが全国各地で展開してきた「ご当地紅茶」にほれ込み、令和元年12月、コクワの葉で紅茶がつくれないかと相談した。
昨年12月にはこくわ紅茶を使った地域おこしを進めるため、八嶋さんは飯豊こくわてぃ協議会を立ち上げ代表に。くわ紅茶の開発から販売戦略などを検討してきた。
根本さんはフレーバーティーとして10種を試作し、その中からキウイフルーツを基本にした4種の果物と野菜でつくった味を選んだ。
今月完成したこくわ紅茶は、見た目は一般的な紅茶ながら、マスカットのような香りとスッキリした甘さが特徴。山形大農学部の成分分析によると、ポリフェノールやケルセチンなどを含み、生活習慣病や美容効果が期待できることもわかった。
飯豊町内だけで販売
12日、関係者らを招いて飯豊町で開かれた完成お披露目会。試飲した山形県上山市の旅館経営、佐藤俊郎さん(74)は「紅茶が好きでいろいろ飲んできたが、このこくわ紅茶はいいね。飲んだことのない味だ」と感想。同じく栃木県鹿沼市の山市敦子さん(57)も「フレーバーティーはあまり好きではないのですが、こくわ紅茶にはびっくりしました」と驚く。
商品名は町名の「いいで」と、人と人が出会うことのよさから「いいであい」とした。当面は飯豊町内のみでの販売とし、道の駅いいで「めざみの里観光物産館」や飲食店、精肉店などで販売する。
八嶋さんは「こくわ紅茶は飯豊町内で売り出します。多くの人に飯豊町に来ていただき、コクワのまち、飯豊を売り出していきたい。飯豊町で育ったコクワ紅茶を地域の名産にし、地域活性化に役立てていきたい」と話している。問い合わせは同協議会(080・2838・0401)。(柏崎幸三)

































