政府は22日、医療機関にサービスの対価として支払う令和4年度診療報酬改定について全体で0・94%引き下げると決定した。これにより国費は約1320億円削減される。鈴木俊一財務相と後藤茂之厚生労働相が同日、令和4年度予算案の閣議決定に向け閣僚折衝を行い、合意した。
診療報酬のうち医師らの技術料や人件費に当たる「本体部分」を0・43%引き上げる一方、薬の公定価格である「薬価」は1・37%引き下げ、差し引きでマイナス改定とする。
診療報酬は保険料や税金、患者の自己負担(1~3割)で賄われる。薬価の引き下げで約1620億円の国費を圧縮できるが、本体を約300億円増やすため、全体の削減は約1320億円となる。
本体の0・43%プラスのうち、岸田文雄首相による肝いりの政策である看護師らの処遇改善分と、菅義偉前首相が進めた不妊治療の保険適用分がそれぞれ0・2%。処方箋を一定期間繰り返し使える「リフィル処方箋」制度の導入と小児科医療の見直しでそれぞれマイナス0・1%とした。これらを加味すると実質0・23%プラスとなる。
このほか閣僚折衝では、一定の所得がある75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担について、来年10月1日から2割に引き上げることでも合意した。
雇用保険料に関し、現在労使で賃金の0・2%となっている失業等給付の料率を来年9月までは据え置き、10月から0・6%に引き上げることも決まった。