日銀の黒田東彦総裁は23日、東京都内で講演し、円安が日本経済に与える影響について「物価上昇を通じて家計所得に及ぼすマイナス影響が強まっている可能性がある」との認識を示した。国内で販売される家電製品などで輸入品の割合が高まっており、円安が物価を押し上げる効果が強まっていると説明した。
:quality(40)/cloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com/sankei/K3KVT7B2Z5IGFMTO3RIWFHML7I.jpg)
黒田氏は講演で、円安が「経済と物価をともに押し上げる構図に変化はない」との見解を表明。円安で輸入物価が上がったものの、消費者物価の上昇率は日銀が目標とする2%を下回っていることなどから「円安は基本的にプラスの効果の方が大きい」と述べた。
日本企業がリーマン・ショック以降の急激な円高を受け、海外生産の比率を高めたと指摘。「円安が海外事業の円建ての収益を押し上げる効果は以前よりも大きくなっている」とした。
2022年の国内景気は、新型コロナウイルス感染症や部品調達難による悪影響が和らげば「景気回復が本格化していく」との見通しを示した。