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世界のベンチャー投資倍増60兆円超 コロナでデジタル化 日本も最高額

本共G世界のベンチャー企業の資金調達額カラー
本共G世界のベンチャー企業の資金調達額カラー

世界のベンチャー企業が投資会社や大企業から調達した資金は、2021年に前年から倍増し、60兆円超と過去最高を更新する見通しになったことが分かった。新型コロナウイルス流行に伴い対面での接触が減る中、金融や小売り、医療分野のデジタル化の進展に期待が集まった。主要国の金融緩和により、投資会社の運用規模が拡大したことも影響した。日本も過去最高となった。

米調査会社CBインサイツによると、21年1~9月に非上場のベンチャー企業が投資会社からの出資などで集めた資金は約49兆円(4377億ドル)だった。単純計算すると年間で約66兆円に達する見込みで、20年実績(約32兆円)を大幅に上回りそうだ。

調達額の約半分を占める米国では、データ分析を手掛けるデータブリックスのほか、日用品宅配のゴーパフやオンライン銀行サービスを展開するチャイムなど、1000億円規模の巨額資金を調達する企業が相次いだ。特別買収目的会社(SPAC)の活用を通じ、ベンチャー企業の株式上場が容易になったことが、売却益を狙う投資会社にとって好材料になった。

調査サービスのイニシャルは日本のベンチャー企業の21年1~9月の資金調達額が、前年同期比6割増の約5800億円になったと分析する。米中に比べ規模は小さいものの、過去最高を記録した19年の年間実績を既に上回っている。

バイオ素材開発、スパイバー(山形県鶴岡市)は今年9月に300億円以上を調達した。企業価値が1000億円を超える非上場企業「ユニコーン」は、同社を含め国内で約10社になった。国は大企業のベンチャー出資を促進する税制を拡充し、投資マネーの流入を後押しする考えだ。

同じアジアでは、中国当局が自国のIT大手の巨大化を警戒して規制を強化しており、事業の成長が鈍るとの懸念が出ている。日本ベンチャーキャピタル協会は「中国ITに向かう資金の一部が日本に流れ込む可能性がある」とみている。

ユニコーン 非上場で企業価値が10億ドル(約1140億円)を超えるベンチャー企業の総称。投資家が希少価値の高さから神話上の架空の動物、一角獣になぞらえた。世界で900社超に達したとされる。動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営する中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)や、著名起業家のイーロン・マスク氏が率いる米スペースXが代表格だ。


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