定年後「だれからも声をかけられない寂しい老人」になる人の共通点とは

    「やり切った感」がないと次に進めない

    とはいえ、せっかく長い時間を費やしてきた仕事です。「やり切った」という思いを持って会社人生を終えられるかどうかは、その後の人生に大きな違いをもたらします。いわば「総仕上げ」をどうするか、という話です。

    役職定年や出向になったあと、モチベーションが落ちたことでどうしても仕事をする気力が起きず、そのままダラダラと定年までの時間を過ごしてしまった……という後悔は、本当にいろいろな人から聞きます。やはり人は何かをやり切った充実感があればこそ、次に進めるのかもしれません。

    では、何を「総仕上げ」とするのか。これはもちろん人それぞれです。会社からそういうお題を与えられているならいいのですが、多くの場合は自分自身で考え出す必要があるでしょう。

    その代表的なものは、「現場の知恵の継承」です。マニュアルが存在していないような分野では、ここに大きなニーズがあります。

    第一線ではないから成し遂げられる仕事もある

    もう一つは、仕事そのもので足跡を残すということです。

    少々前の事例で恐縮なのですが、部品会社に勤めるWさんの話をご紹介したいと思います。

    その会社は長年自動車部品を作ってきたのですが、売上的にはじり貧でした。一方、当時は電気自動車(EV)の黎明期で、これから市場が拡大することが予想されていました。

    しかし、ガソリン自動車とEVでは、販路が違います。現役世代は現在の顧客の維持に精いっぱいの状況。そこでWさんは、自分がこのEV関連の取引先を開拓することを「ビジネス人生の総仕上げ」とすることにしたのです。

    そして実際、その道筋をつけたうえで、Wさんは定年退職。現在ではこの会社のEV事業は大きな柱に育っているそうです。

    このように第一線ではないからこそ、成し遂げられる仕事もあるはずです。

    「集大成」があったからこそ、定年後が輝く

    もう一つ事例を紹介しましょう。

    地方市役所の住民課にて、課長として50代を迎えたKさんが注力したのは「民間への窓口業務委託」でした。

    民間への窓口業務委託はその必要性が叫ばれているとはいえ、法律で制限がされていることに加え、個人情報の取り扱いなどもあり、実際にはそう簡単な話ではないというのが現実です。だからこそ、Kさんはこれを公務員としての集大成と位置づけて尽力し、見事に成し遂げました。

    Kさんは定年後、大学での就職担当者として新たなキャリアをスタートさせましたが、この経験を学生に話すことで学生を勇気づけているそうです。50代の集大成がその後の人生にも役立つことがわかる好例だと思います。

    会社に貢献し、かつ、自分の人生にも大いに意味を持つ「集大成」はどんなことか。ぜひ、考えてみてください。(営業コンサルタント 大塚 寿)

    大塚 寿(おおつか・ひさし) 営業コンサルタント。1962年群馬県生まれ。リクルートを経て、サンダーバード国際経営大学院でMBA取得。現在、オーダーメイド型企業研修、営業コンサルティングを展開するエマメイコーポレーション代表。著書に、『リクルート流「最強の営業力」のすべて』『法人営業バイブル明日から使える実践的ノウハウ』『50歳からは、「これ」しかやらない 1万人に聞いてわかった「会社人生」の正しい終わらせ方』(以上、PHP研究所)や、『40代を後悔しない50のリスト』(ダイヤモンド社)など多数。


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