場の風通しをよくする「感覚」「直感」「印象」
せっかくいい意見やアイデアを思いついても、まわりの雰囲気や会話の流れから外れるのを気にし過ぎて、自分の考えを気兼ねなくいえないときもあるでしょう。
ふと思いついたことを会話のなかで自然に話せなければ、会話を理詰めだけで考えてしまい、その場にも緊張した雰囲気が生まれてしまいます。
誰かが思いつくままに素直な意見を発することで、はじめてその場の風通しがよくなり、明るいコミュニケーションができる雰囲気になります。
ですから、まずはあなたから、自分が感じたままの意見を伝えてみましょう。
そんなときに使えるのが、「感覚的にいうと」「直感的には」「印象としては」などの感性を伝える言葉です。
「感覚的にいうと、そのアイデアはいまの若者に刺さると思いますね」
「直感的には、このサービスは高くても使い勝手がいいのでありだと思います」
自分の考えにつけるだけで、素直な意見がぐんと言いやすくなります。感覚や直感には正解・不正解がないので、誰もが「そうだよね」「そういう見方もあるかな」と、自然なかたちでとらえられるからです。
仲間やチームのなかにひとりでもそんな話し方をする人がいるだけで、まわりの人も率直な意見を言いやすい雰囲気が生まれます。
その場のコミュニケーションが活性化していくので、会議や打ち合わせなど仕事の場面で、ぜひ使ってみてください。(明治大学文学部教授 齋藤 孝)
齋藤 孝(さいとう・たかし) 明治大学文学部教授1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー作家、文化人として多くのメディアに登場。著書に『ネット断ち』(青春新書インテリジェンス)、『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『語彙力こそが教養である』(KADOKAWA)『新しい学力』(岩波新書)『日本語力と英語力』(中公新書ラクレ)『からだを揺さぶる英語入門』(角川書店)等がある。著書発行部数は1000万部を超える。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導を務める。