国内の電機メーカーでエアコンや空気清浄機といった空調事業を重視する動きが鮮明になっている。新型コロナウイルス禍で「きれいな空気」への関心が高まり、世界的に持続的な市場成長が期待されるためだ。世界トップを走る専業のダイキン工業を、パナソニックなどの総合家電メーカーが追い上げる。
昨年11月上旬、パナソニックエコシステムズ(愛知県春日井市)のモデルルーム。寝室の天井に設置された仕切り板の隙間から、柔らかい風が送り出される。除菌や脱臭に加え、香りを心地よく整える機能も備えた。常に快適な室内環境を保つ次世代の空調システムと位置付ける。
同社は空気にまつわる技術の幅広さを強みとする。山内進常務は「技術を組み合わせて付加価値を高め、他社に差をつけたい」と話した。
パナソニックの空気清浄機や換気扇を含む空質空調事業は、令和3年度の売上高が7190億円、営業利益は390億円となる見通し。家電部門を率いる品田正弘専務執行役員は、将来的に利益を1000億円程度まで引き上げる目標を示し「ナンバーワン、ナンバー2にならないと生き残れない」とハッパを掛ける。
三菱電機は、空調関連事業の7年度の売上高を2年度の約1.6倍に当たる1兆2600億円に拡大する計画だ。研究開発や生産強化に5年間で約3800億円を投じる。同社はテレビ事業の縮小を表明しており、京都府内にあるテレビ開発拠点の従業員に空調部門への異動を打診するなど経営資源を振り向ける。
シャープは独自の空気清浄技術「プラズマクラスター」を成長の切り札とする。技術の核となるイオン発生装置の外販に注力し、自動車やエレベーターなどにも搭載するよう提案する。
各社が目指すのは連結売上高が3兆円に迫る業界の雄、ダイキンだ。伝統的に得意な業務用に加え、家庭用エアコンや空気清浄機の品ぞろえを拡充した。十河政則社長は「次々に手を打ってライバルの先を行きたい」と意気込んでいる。
































