茨城県常陸大宮市が、県内外からの観光誘客に本腰を入れている。旅行電子雑誌とタイアップし、昨年末からウェブ上に市内の観光スポットなどを紹介する特集を掲載。ナビゲーター(案内人)役には、人気タレントの川栄李奈さん(26)を起用した。担当の市商工観光課は「若い世代に常陸大宮の魅力を知ってもらい、泊まりがけで来てほしい」とPR効果に期待する。
令和元年度、常陸大宮市には約170万人の観光客が訪れたが、コロナ禍に見舞われた2年度は107万人と4割近くも減り、宿泊や飲食関係の業者らは大きなダメージを受けた。
昨春、市は各自治体が独自のコロナ対策に使うことができる国の地方創生臨時交付金の使い道を検討。商工観光課は旅行電子雑誌を使った観光プロモーションを提案し、採用された。雑誌はブランジスタメディア(東京都渋谷区)発行の「月刊 旅色」。ナビゲーターには、約10人の候補から川栄さんを選んだ。
これまで市内へ観光に訪れるのは中高年層が多かった。アイドルグループ「AKB48」の元メンバーで、現在NHKが放映する連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」のヒロイン役にも起用された川栄さんは若い世代への影響力が強く、「20~30代の人たちを呼び込みたい」とする商工観光課の狙いと合致した。
雑誌の取材や撮影は昨年10月下旬に2日間かけて実施。川栄さんは常陸大宮市を1泊2日で旅行するとの設定で、栃木との県境にある鷲子山上(とりのこさんしょう)神社や、趣のある町並みが残る宿場町の高部宿(たかぶじゅく)などを訪れ、食事は手打ちそばや、ウナギ料理などを堪能した。
同市を特集した「旅色」1月号は昨年12月27日からウェブで公開(https://tabiiro.jp/)。川栄さんは「実は茨城県を旅したのは今回が初めて。常陸大宮市にはこんなにすてきな場所があったんだ! と新たな出合いがたくさんあった旅でした」と振り返っている。
ウェブにはこれまで1万人以上がアクセス。今回紹介された飲食店を実際に訪れる若者たちの姿も見られ、〝川栄効果〟が早くも表れつつある。
同市は、電子雑誌をもとに冊子も約2万部作成し、催しなどで配布。他の観光地へ向かう際の〝通り過ぎる街〟という残念なイメージの一新に努める。「那須連山から富士山まで180度を見渡せる絶景スポットの休場(やすんば)展望台など、市内の知られざる名所をどんどんPRしたい」と商工観光課は意気込んでいる。
































