IR住民投票条例案、和歌山市議会委員会で否決

    住民投票条例案を採決する市議ら=和歌山市
    住民投票条例案を採決する市議ら=和歌山市

    和歌山県が和歌山市内の人工島「和歌山マリーナシティ」に誘致を進めている統合型リゾート施設(IR)をめぐり、市民団体が直接請求していたIRの是非を問う住民投票条例案について、市議会の総務委員会は25日、条例案を賛成2、反対7で否決した。

    27日には本会議で採決を予定。定数38に対し、議長を除く過半数(19人)が賛成すれば可決となる。

    条例案は、市民団体「カジノ誘致の是非を問う和歌山市民の会」が必要な署名を集め、尾花正啓市長に直接請求。尾花市長は、実施に多額の費用がかかることなどを理由に「意義は見いだし難い」と反対意見を付けて市議会に提案し、総務委員会が審議した。

    この日は会のメンバー6人が意見陳述。「IR誘致は市の将来のまちづくりに影響をもたらす施策。住民投票で民意を反映させることは住民自治の基本」「住民投票の結果を尊重し、誘致に同意するかどうかを決めたら、それが民主主義」などと訴えた。

    審議では、市議から市の担当者に対し、「(IR事業者が)撤退した場合の対応は」などの質問があり、市の担当者は「撤退するケースは想定していない」などと答えた。

    採決は委員長を除く9人で行われ、市議が提出した条例案の修正案と、元の条例案が、ともに反対多数で否決された。

    反対した市議は「県の整備計画も示されていない状況で、何をもってIR誘致の賛否を住民に問うのか理解に苦しむ」、賛成した市議は「住民投票の実施を求めて多くの署名が集められた背景を考えれば、否決されたのは残念」などと話した。

    一方、会の請求代表者の豊田泰史弁護士は「IR誘致が市民にとっていかに重要な課題か、思いが伝わらなかった。本会議での各議員の行動をしっかりみていきたい」と話した。


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