新型コロナウイルス感染拡大でダメージを受けた小売りが、店舗の刷新で反転攻勢を伺っている。訪日外国人客(インバウンド)の消失が痛手になった免税品大手ラオックスは、海外で人気の化粧品や食品を扱う新業態を始め、国内消費者の取り込みを狙う。コロナ禍の終息時期が見通せない中、売り場づくりで顧客を開拓することが打開策の一つになりそうだ。
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「本物のアジアを紹介したい」。ラオックスの飯田健作社長は27日、東京・吉祥寺に開くアジアコスメ専門店「ラオックスビューティーエアポート」の内覧会で語った。専門店では、韓中台など各地の最新コスメ約1300種を扱う。
コスメ専門店は吉祥寺に先駆けて昨年12月、自由が丘で初めて開店した。11月にはアジア食材を扱う専門店もオープン。多国籍の従業員の知見を生かして日本初上陸の商品などをそろえ、免税店の来店者とは異なる層を呼び込む。
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ラオックスは、中国の家電量販店傘下となった平成21年から免税店事業を主軸にし、訪日客による「爆買い」ブームの象徴となった。ところがコロナ禍で需要が蒸発。国内で免税店を多数閉店し、希望退職を募るなど構造改革に取り組んだ。コスメと食品の2業態は「日本のお客に対するビジネス構想が結実した形」(飯田社長)といい、状況を見ながら拡大する方向という。
日本政府観光局は今月、令和3年の訪日外国人客数(推計値)は過去最低の24万5900人だったと発表した。コロナ前の元年比で99・2%減となる。足元では新変異株オミクロン株が流行しており、先行きはなお不透明だ。
高島屋は2年10月、全日空商事などと新宿の店舗に設けた免税店を「インバウンド需要の回復が不透明」などとして閉店。現在は家電量販店が入る。ビックカメラは、一部で設けていた訪日客向けの展示や免税専用レジを止めたほか、店舗によっては地元客向けの品ぞろえに置き換えた。
訪日客の多かった銀座では、コロナ期間でのリニューアルが相次ぐ。商業施設「ギンザシックス」は店舗を大幅に入れ替え、昨年は開業4周年に合わせて約40店舗を、5周年の今春は19店舗を開く。「時代を牽引(けんいん)するブランドを招聘(しょうへい)できた」(担当者)といい、昨年のリニューアルでは国内20~30代の若年層の来店が増えたという。
時計塔がシンボルとして親しまれている宝飾品店「和光本館」は、一部フロアを工房や展示スペースに改修し「セイコーハウスギンザ」に名称を変える。担当者は「ブランドをアピールし、長年の顧客にも新たな顧客にも足を運んでほしい」と話している。(加藤園子)