政治の舞台、名建築…憲政記念館が建て替え休館へ

建て替えを控えて30日で休館する憲政記念館=27日午前、千代田区(内田優作撮影)

日本政治に関する資料を収集、展示する憲政記念館(東京都千代田区永田町)が30日に参観終了し、建て替えに入る。政治の舞台にもなり、建築物としても高い評価を受けるなど、さまざまな顔を持つ同館は開館してから50年。これまでの歩みと今後の展開を聞いた。

同館は尾崎行雄記念財団から建物を寄付され昭和47年3月に開館、昨年度は約1万5千人が来場した。幕末から現代に至るまでの日本政治史の資料約1万5千点などを所蔵するほか、講堂や会議室が政党、政治家の会合にも使われ、政界関係者にはなじみ深い。平成24年に民主党が分裂し、小沢一郎氏が「国民の生活が第一」を結党した際に結党大会の会場に選ばれるなど、この館自身も政治史にその名を刻んできた。

29年、老朽化した国立公文書館(千代田区北の丸公園)の新館予定地に憲政記念館の場所が選ばれ、両館一体で建て替えられる方針が決定。内閣府は令和10年度末の完成を見込んでおり、憲政記念館は4月から国会図書館東側の代替施設に移転する予定だ。

憲政記念館の所蔵品は文書から政治家の遺品までさまざまだ。陸相などを務めた宇垣一成や民社党を結党した西尾末広らの文書類のほか、変わったところでは吉田茂の白足袋や葉巻切り、浅沼稲次郎が暗殺された際の服装一式なども所蔵する。

さらに〝色紙集め〟も重要な業務の一つ。歴代の首相や国会の正副議長、25年以上にわたって議員を務めた永年在職議員には就任とともに一言を記した色紙を収めてもらう。

資料の収集や管理、展示の企画に当たる資料管理課の岩間一樹課長補佐によると資料は関係者の遺族から提供されることが多い。「資料を所有している方には物への強い思いがある。収集、管理に当たっては知識を深め、所有者の気持ちに立つことを大事にしている」と語る。

展示に加えて同館の名物として知られるのが、演壇と議席を設けて本会議場を再現した「議場体験コーナー」だ。つかの間の国会議員気分を味わえるとあって参観者から人気を集める。代替施設と新館でも継続して展示。新たに予算委員会や党首討論が開かれる「第1委員室」の再現ブースも設置する方針だ。

低層のつくりが印象的な同館は建築家の海老原一郎の手によるもの。建築物としての評価は高いが、取り壊され、新館で「一部部材の活用やイメージの踏襲」(建設基本計画)が行われる見通しだ。同館の山本浩慎(ひろのり)館長は「戦後のモダニズムに伝統を取り入れた設計」と解説。「講堂のギザギザとした形の折板屋根が新館でなくなるのは残念だ」と惜しむ。

同館では30日まで「憲政記念館ふりかえり展」を開催し、これまでの取り組みを紹介する。山本館長は「新館でも大人に満足してもらえるようにしながら、小中高生が将来の有権者になるため勉強できる展示を提供していきたい」と力を込めた。(内田優作)


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