過干渉上司のこまかすぎる指示にモチベ急落
リモートワークで増加傾向にあるトラブルとしてもうひとつ、過干渉の問題をご紹介しましょう。部下の様子を直接確認できないリモートワーク下では、かえって上司の「管理したい欲」が暴走してしまうことがあります。
Cさんは営業部のエースとして活躍する35歳。取引先からの信頼も厚く、着実に成果を出している中堅の人材です。コロナ禍で出社日数が制限され、また取引先への訪問も控えざるを得ないなかでも、オンラインツールを駆使しながら商談を進め、コロナ前と変わらない営業成績を上げています。環境の変化にも柔軟に適応しているように見えるCさんですが、実は転職も考えているといって相談にみえました。
Cさんのストレスの原因は、上司のDさん。Dさんは、部下の業務をすべて把握、管理したいタイプ。「在宅勤務のときこそ、今、何をしているかを見える化しておくことが大切!」という信条の持ち主です。
「なぜこの資料作成に2時間もかけているんだ?」
「始業から終業まで、ずっと監視されているような気分です。また、各社とのミーティング内容まで逐一報告を求められるのも苦痛。自分では成果を上げてきたつもりでしたが、まったく信用されていなかったのではないかと疑心暗鬼になってしまいます」と、Cさんはぐったりした様子で話します。
Dさんのチェックはこまかく執拗で、「どうして提案資料作成に2時間もかけているんだ?以前にも同様の案件があったのだから、もっと短時間でできるはずだ」といった指摘がメールやチャット、ときには電話で飛んでくるといいます。
「上司への報告対応のたびに集中力が途切れて、コロナ前よりも実務時間は長くなっているかもしれません。最近は、仕事自体へのモチベーションも上がらなくて……」
過干渉上司の上長への進言は慎重に
中堅社員にも新入社員と同じようなマネジメントを行う上司は、少なからず存在します。Cさんは「信用されていないのでは」と嘆いていましたが、過干渉上司は決してCさんの能力を評価していないわけではありません。ただ、「勤怠管理をしっかりしたい」「自分が納得できるやり方で進めてほしい」「規律やルールを大事にしたい」といった考えが強すぎるがゆえに、柔軟なやり方を許容できないのです。
上司の「管理したい欲」が強すぎる場合は、残念ながら状況を変えるのは相当に難しいと覚悟するしかありません。過干渉タイプの人は「ルール通りに」という考えに凝り固まっていて、他人の意見を受け入れようとしないことが多いのです。
では、さらに上の上長に進言するのはどうでしょう? 上長がうまく説得してくれればよいですが、反対に上長が丸め込まれてしまうリスクもあることを頭に入れておきましょう。
「実際に在宅勤務になってサボり癖がついた部員がいて、そのせいで部全体の生産性が落ちてしまったから、こまかくマネジメントしているんです!」といった具合に論破されてしまったときには、上長も「じゃあ、やりすぎにならないように気をつけて」とお茶を濁すほかないでしょう。こうなったら厄介です。上司は上長のお墨付きをもらったも同然。また上長に進言した部員を特定して、より一層締め付けを厳しくする、といった報復に出てくる可能性も考えられます。






























