なぜ、おうぎ形がつぶれている図形を描いてしまうのか
まずは、直線から正しく描いてみよう。
さて、お子さんに、三角形やおうぎ形などの図形を描いてもらってみてください。
図表2のように、平行なはずの辺が平行でなかったり、直角が正しく直角になっていなかったり、おうぎ形がつぶれていたりしないでしょうか?
これらは、算数ができる子にもよく見られる例です。将来、自分で描いた図を使って解く問題で苦戦することのないよう、日ごろから、「正しい図を描く」ことを意識した図形学習を進める必要があります。
ではまず何から始めたらよいか。
うちの子はまだ低学年だから図形は教科書で習っていない、などと言わずに、すぐに始めてほしいと思います。
最初のうちは遊び感覚でいいのです。上に兄・姉がいるなら、教科書や問題集を借りて、出てくる図形問題の図をまねして描いてみるとよいでしょう。大切なのは、「正しい図」「正しくない図」という意識、正しい・正しくないという心の働きです。
私の教室で生徒にすすめているのは、1cm方眼(マス目)のノートです。小学生が自分で描いた図で問題を考えるために、ちょうどよいマスなのです。
まずはフリーハンドで描いてみてください。定規で図を描く練習も必要なのですが、まずは自分の手で描く経験が欠かせません。
「正方形を正しく描く」小学3年生の初回授業の基本問題
では、例題①(Q:正方形の1つの辺が描いてあります。残りの3つの辺を描いて正方形を完成させなさい)をやってみてください。教室では、小学3年生の初回の授業に出している基本問題です。
目的地を定めないままに線を引き始めていいかげんな線になってしまう子もいますし、線の目的地となるマス目の交点を間違えてゆがんだ正方形になってしまう子もいます。
一方、図を描くのに慣れている子は、何も説明しなくてもスッと残りの3辺を正しく引きます。
そういう子は、こんなふうに描いているはずです。
- 辺ABの傾きを観察する。
- 他の辺の目的地となるマス目の交点(点C、点D)を探す。
- 点C、点Dを目指して線を引く。
最初は正しく引けなかった子も、慣れてくると、見えなかった点C、点Dが見えてくるようになるのです。
さらに、できあがった正方形の一辺は、1cmのマス目をつなげてできる長方形の対角線、つまり直角三角形の斜辺になっていることにも気付くようになります。ここで、図のなかに直角三角形を発見することができたのです。
































