地方銀行の再編・統合が進む中、青森銀行(本店・青森市)とみちのく銀行(同)が令和6年の合併を目指して今年4月1日に持ち株会社「プロクレアホールディングス」を設立し、両行が傘下に入って経営統合する。銀行を取り巻く環境の厳しさを背景に将来を見据えて経営基盤を強化するのが狙い。今後問われるのは県経済の牽引(けんいん)役としてどのような役割を果たしていくかだ。
総資産6兆円
「両行の強み、ノウハウを融合し、最良の選択と確信を持って進めていく」(青森銀の成田晋頭取)。
「新しいグループとして地域を作るための挑戦」(みちのく銀の藤沢貴之頭取)。
昨年5月に経営統合への協議入りを表明してから半年後の11月、最終合意の記者会見を行った両頭取は力強く語った。長年、ライバル関係にある両行が一つになり、総資産6兆円規模の東北でも有数の金融グループ誕生が事実上、決まった。
再編の背景について専門家は、県経済の低迷や人口減少、長引く低金利政策によって単独での経営が難しくなっていることを挙げる。昨年、発表された平成30年度の県民経済計算によると、県内総生産は名目、実質とも3年連続でマイナス成長。人口減少による労働力、生産力の低下が大きな要因とみられ、青森中央学院大の山本俊准教授(金融論)は「今後も横ばいか低下傾向が続く」と予測する。
超低金利の常態化による「利ざや」の縮小も銀行経営を直撃している。山本准教授は金融業界について「利子率の減少を補うために貸し出し残高を増やしているのが現状で、薄利多売の状態。人口が減ってくると貸し出し量も補えきれなくなってくる」と分析する。
競争による〝消耗戦〟を回避するため、経営統合は有力な選択肢の一つだった。両行の背中を後押ししたのが令和2年11月に施行された独占禁止法の特例法だ。同一地域の地銀の経営統合や合併を認めるもので、両行は全国初適用を目指す。
新規事業参入も
経営統合で課題となるのが店舗網の見直しや人員削減、異なる基幹システムの共通化などだ。
このうち、人員に関しては、昨年11月に改正銀行法が施行され、銀行の業務規制が緩和されたことが追い風になる。成田頭取は「新たな分野への挑戦や従来の金融の枠組みを超えたサービスの創造に取り組む」と強調。両行が持つ人材、ノウハウを生かし、地域商社機能の拡充やマーケティングなど、地域の課題解決のための新規事業参入も視野に入れる。
システム統合や店舗の統廃合の初期費用に関しても30億円を上限に3分の1を交付する改正金融機能強化法(同7月施行)を活用する方針だ。
両行は合併2年後の8年度に約20億円、11年度に約50億円の統合効果を見込む。ただ、6年9月に迫るみちのく銀の公的資金200億円の返済の道筋をどのようにつけていくかなど、健全な経営基盤を構築できるかも問われる。
今回の経営統合で県内貸出金シェアは7割を超える。それは「競争圧力からの解放」(山本准教授)を意味し、金融サービスや顧客の利便性低下を招く懸念の裏返しでもある。再編が持続可能な地域経済の発展に寄与するものになるかが問われている。
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【プロクレアホールディングス】 プロクレアはラテン語の挑戦(provocatio)と創造(creare)を合わせた造語。本店をみちのく銀行本店、本社機能を青森銀行本店に置き、青森銀の成田晋頭取が社長、副社長にはみちのく銀の藤沢貴之頭取が就く。4月1日に東証1部に上場し、同4日には最上位区分の「プライム市場」に変更する予定。株式移転比率は青森銀が1、みちのく銀が0・46。
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【記者の独り言】 同一県内に第1地方銀行が2行あるのは全国的にも珍しい。青森銀は自治体や中堅以上の企業と取引が多く、みちのく銀は個人融資と〝すみ分け〟しつつ、切磋琢磨(せっさたくま)してきた。行風が微妙に違う両行の経営統合は行員にとっても地元にとっても青天の霹靂(へきれき)だった。それだけに、その成否は行員の融和が鍵を握るといっても過言ではない。垣根を越え「バンカー」としての矜持(きょうじ)を持って県経済の発展に尽くしてほしい。(福田徳行)
































