霞ケ浦(茨城県)のダイヤモンドと呼ばれるシラウオ。人工知能(AI)を活用して鮮度を評価し、高付加価値化を目指す『霞ケ浦シラウオ×AI』プロジェクトが始動した。ベンチャー企業、ima(アイマ、東京都港区)と茨城県行方市、東京農業大学(同世田谷区)とマグロ養殖などで知られる近畿大学(大阪府東大阪市)が手を携えた。産官学の連携でブランド化のみならず、漁業従事者の所得向上や水産資源管理、新たな販路開拓など、シラウオ漁の未来を模索していく。
シラウオはシラウオ科の成魚で体長5~10センチ。料亭などで出される高級魚として知られ、茨城県は青森県に次ぐ全国2位の漁獲量を誇る。しかし、漁場は首都圏に近いにもかかわらず、流通するのは青森県・小川原湖産などが主流となっている。
あらゆるものの〝合間(あいま)〟をとりもち、社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)化などを支援しているimaの三浦亜美社長は「鮮度低下が早いこともあるが、霞ケ浦に市場がなく、買い手の言い値で価格が決まり、販路も限定的」と指摘。さらに「多く捕って収益をあげる構造で、サステナビリティー(持続可能性)という点でも課題があった」と振り返る。
プロジェクトでは鮮度を評価するAIを開発。水揚げされたシラウオは、撮像装置内で画像撮影。「透明感」に焦点をあて、目利きのある漁業者が等級ラベル付けを行い、データを蓄積してきた。
鮮度は4段階で評価・認定し、パッケージにシールなどで記していく。鮮度の認定に合わせて値段を設定し、生食用や加熱用など幅広い食べ方の提案にもつなげていく。7月の漁解禁から活用していく予定だという。
今回のプロジェクトの特徴はAIに加え、大学ネットワークの活用だ。同市が推進する6次産業化で協働するのは東農大生物産業学部。地域資源を使った新食品開発や人材育成などに取り組んできた。
同大の小川繁幸准教授は「行方市は都心から約70キロという地理的利便性に加え、60品目以上の農産物が生産される食の宝庫。半農半漁など、農林水産業の多様な展開を学ぶ場として魅力的」と指摘する。
シラウオの鮮度評価については、より適任の研究者を求めて近大への橋渡し役も担った。小川准教授は「地域に貢献するためには橋渡しも大切。本学はPRや加工品開発などで貢献していきたい」と話す。
バトンを受け取ったのは、近大農学部水産学科の安藤正史教授。「シラウオは取り扱いによる品質の差が出やすく、漁師の勘に頼る面が大きい。AIによって品質評価を客観化し、一定水準を保つことができる」とプロジェクトの意義を評価する。
安藤教授は、鮮度維持の最大のポイントは温度だと指摘する。湖水温や網をひく時間、洗浄水の温度…。凍結しない範囲でより低い温度管理をすることで鮮度が保てるという。また、大きな魚体ほどシラウオ特有の歯応えの数値が大きい。透明感に加え、魚体サイズをデータに加えることで、物性面からの品質保証を視野に入れている。
行方市の鈴木周也市長は「大学の知見を得られるだけではなく、学生の参加が漁業の未来につながっていく。鮮度と品質を追求し、朝獲りシラウオとして販路を開拓していく。漁業者の収益向上や水産資源の有効活用を考え、シラウオ漁を守っていきたい」としている。
































