民間企業から公務員への転職に必要な準備とは? 民間からの転職はなぜ難しいといわれるのか

    はじめに

    民間企業で社員として働くのと公務員として国や地方の住民のために働くのとでは、さまざまな面で相違点があります。民間企業で働いている人が、倒産やリストラの心配がない公務員に転職したいと考えることもあるでしょう。

    この記事では、民間企業から公務員に転職しようとする場合に、知っておきたいことを紹介します。参考にして公務員への転職を成功させましょう。

    民間企業から公務員への転職は可能?

    ※画像はイメージです(Getty Images)
    ※画像はイメージです(Getty Images)

    公務員には、倒産やリストラの心配がないことや、景気に左右されず収入が安定しており、男女関わらず長く働けることなど民間企業にはないメリットが多いです。

    そのため、できるなら公務員に転職したいと考える人も少なくありません。民間企業から公務員への転職は決して簡単ではありませんが、公務員試験に合格し内定をもらうえれば転職は可能です。

    公務員試験には「一般枠」と「社会人枠」があり、どちらも競争率が高く難易度も高いですが、しっかりと対策を立てることや、働きながら勉強時間を確保することで合格率を高めましょう。

    民間企業と公務員の違いを理解しよう

    公務員への転職を希望している人は、民間企業と公務員との違いを具体的に把握しておくことが必要です。

    ▼仕事内容に関して

    公務員には国で働く「国家公務員」と地方公共団体で働く「地方公務員」があります。中央省庁や県庁、市役所などの公的機関や公共施設が勤務先となります。

    民間企業がモノやサービスを提供することで対価を得る営利的組織であるのに対し、公務員は国民や住民の生活や福祉の向上のために働く非営利組織。公務員の仕事にはさまざまなものがありますが、消防士・警察官・自衛官・公立学校の教師なども公務員です。

    公務員の仕事には試験に合格してすぐに就くことができるものもありますが、看護師免許と保健師免許の取得が必要な保健センターの保健師などのように、資格取得が必須の仕事もあるため、確認しておくことが必要です。

    ▼採用方法に関して

    民間企業の採用方法は一般的に、まず書類選考から始まり、書類選考を通過した受験者が筆記試験と面接試験に臨みます。筆記試験と面接試験に合格した受験者が内定者となり、入社日が決定します。民間企業の採用試験は「入社するための試験」であるため、内定した場合は辞退しない限りは入社が決定するでしょう。

    一方で公務員試験には「一次試験」と「二次試験」があります。一次試験は筆記試験、二次試験は面接やグループディスカッションで構成され、職種によっては体力テストが行われることもあります。公務員試験は受験者が多数のため、面接試験は減点方式で行われます。

    公務員試験は、民間企業のように会社に向いているかどうかを判断するための試験ではなく、「落とすための試験」ともいえます。筆記試験の難易度は高く人数がかなり減らされるのです。また、公務員試験に合格すると採用候補者名簿に登録され、順番に内定が決定します。

    ▼待遇に関して

    民間企業の待遇は会社の業績や個人の成績によって上下します。会社の業績が悪化すると、給与が下がったり賞与がなくなったりするだけでなく、最悪の場合はリストラされることもあります。

    公務員は企業で仕事をしているわけではないため、業績悪化による給与の減額やリストラの心配がなく、倒産することもありません。しかし、民間企業と比較すると給与の額は低い傾向があり、業績がいいからと給与や賞与が増額されることもありません。

    公務員に転職するための2つの方法

    民間企業から公務員に転職するには、(1)「一般枠」の公務員試験を受験して合格する方法と、(2)職務経験がある人向けの「経験者枠」で試験を受験して合格する方法とがあります。

    1.一般枠で公務員試験を受験する

    一般枠の公務員試験は年齢条件を満たしていれば、誰でも受験できます。ただし年齢の上限が定められていることが多いため、確認が必要です。基本的には新卒で受験する人が多い枠です。大学卒業程度の教養試験があり、民間企業で仕事をしながらそのた試験勉強をしなければならない転職者にとって、採用試験に合格するのは非常に難しいといえるでしょう。

    そのため、民間企業から公務員へ転職したいと考える場合は経験者枠で受験するのがおすすめですが、職務経験が少なく一般枠で受験する場合は、計画を立てて勉強の時間を確保することが必要です。

    2.経験者枠で公務員試験を受験する

    公務員試験の経験者枠は、ある程度の年数の職務経験がある人の試験です。一般枠が新卒のための試験なら、経験者枠の試験は中途採用の試験と考えられます。

    一般枠に比べて筆記試験の負担が少ないため、筆記試験のために勉強することはそれほど必要ではありません。その代わりに社会人としてどのようなことを経験してきたかに重点をおかれる面接が多くなり、経験者枠独自の論文の試験もあります。

    経験者枠は採用人数が少なく競争率が高くなり、狭き門となる傾向があります。民間企業での職務経験が長く、スキルに自信がある人には有利になる可能性があるでしょう。

    公務員への転職準備を始める前の注意点2つ

    民間企業などから公務員に転職するのは簡単なことではありませんが、とくに注意しておくべきポイントが2点あります。

    1.受験に年齢制限が設けられている

    一般枠の公務員試験は学歴や職歴に関係なく受験できますが、年齢制限があるため注意が必要です。一般枠の試験は新卒の人の受験が多いため、30歳位までとなっていることがほとんどです。社会人枠は職務経験が条件となっているため、一般枠よりも年齢の上限は高くなっています。

    社会人枠の試験の上限は定年前の59歳まで受験できることがほとんどです。一般枠とは逆に30歳以上という下限があることが多いため、受験前に確認することが必要です。

    2.働きながら勉強時間を確保するのが大変

    民間企業から公務員への転職を目指す場合は、仕事のかたわら試験勉強をしなければなりません。公務員試験の難易度は高校卒業程度から大学卒業程度ですが、国家公務員の試験はとくに難易度が高いためしっかりと準備をすることが必要です。勉強時間の確保が大変ですが、昼休みや通勤途中など、スキマ時間を勉強時間に充てるのもおすすめです。

    普段も少し早起きして勉強時間に充てるなど、試験日まで毎日少しずつでも勉強を続けるようにするといいでしょう。参考書だけでなく、通信講座や公開講座などを利用するのもおすすめです。

    まとめ

    民間企業から公務員に転職するのは決して簡単なことではありません。公務員試験を受験するには2つの方法があるため、自分の年齢や職務経験から一般枠がいいのか、社会人枠がいいのかをよく考えてしっかりと受験対策をする必要があります。公務員試験の傾向と対策を行い、難関の公務員試験を突破して公務員への転職を実現させましょう。


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