はじめに
飲食業は、私たちの「食」を支える重要な産業のひとつ。飲食業界は需要の高さと人手不足から、常に採用が活発に行われている業界のため、未経験でも他の業界に比べると転職が成功しやすい傾向にあります。
しかし、本格的に未経験からの転職を目指すのであれば、他の業界と同様しっかり研究しておくことが重要です。今回は、飲食業の分類や主な職種、転職する際の注意点を紹介します。
飲食業界は大まかに2つに分類される
飲食業界が担っているのは、私たちの食のうち「中食」と「外食」。ここでは、この2つについて解説します。
▼中食
中食とは、飲食店などで食事をする外食と、家庭で調理したものを食べる内食の中間にあたる食事の形態です。主にスーパーや惣菜店、コンビニでお弁当や総菜を買って家で食べることを指します。その他、レストランなどの外食向け飲食店でテイクアウトやデリバリーを利用など、外で調理された料理を自宅や家庭内で食べることも中食です。
近年では、美味しい料理を家で手軽に食べられるという魅力から、単身者や高齢者世帯のみならず、共働き世帯など幅広い世帯で需要が高まっている業界です。
▼外食
外食とは、その言葉通り「外で食べること」を指します。食堂や定食屋、レストランといった飲食店での食事や、ファストフード店でのイートイン、喫茶店や居酒屋での食事も外食に含まれます。食のジャンルによってさまざまな専門店が展開されているのも特徴で、作ることや材料費のコストから家庭では難しい料理が気軽に楽しめる点も魅力のひとつです。
また、外食を利用するのは若い単身者世帯がとくに多く、個人の生活背景の違いによって多様化する食生活を支えている業界ともいえるでしょう。
飲食業界の主な職種や仕事内容を紹介
ここからは、飲食業界の主な職種、仕事内容を紹介します。それぞれ仕事内容は大きく異なるため、自身の希望する働き方と擦り合わせてみるのもよいでしょう。
1.研究開発
飲食業において不可欠なのが、商品となるメニューや料理の開発です。研究開発職は、飲食業の要となる商品の開発を行います。仕事内容は新規メニューの開発、既存メニューの品質チェックや使用する食材の分析、他店のリサーチなどの市場調査と多岐にわたります。
メニュー開発は定番商品だけでなく、季節やイベント限定のものも含むため、常にアイデアを出し続けることや流行のチェックが求められるでしょう。自身のアイデアが売上に直結するため、飲食業の中でも人気が高い傾向にある職種です。
2.販売促進
どんなに美味しい料理や新商品ができても、存在を人々に知ってもらえなければ利益を出すのは難しいもの。販売促進職は、飲食店や企業の売上アップを目指し、効果的なマーケティングを行う仕事です。たとえば、キャンペーンの企画や立案、販促ポスターの作成など、売上の向上につながる業務を担います。
また、店舗スタッフの教育が業務内容に含まれているのも販売促進業の特徴です。スタッフの教育を通し、常に現場のサービス向上に努めるのも重要な仕事のひとつなのです。
3.店舗開発
飲食店の人気は、料理の味はもちろんですが「通いやすい場所」にあるかどうかも重要なポイント。店舗開発職では、新規出店時にエリアの調査を行ったり、店舗の候補となる物件を発掘したりと店舗そのものに関わる仕事をしています。
他にも、店舗のデザインや競合となる他店や他社の研究を行うなど、店舗開発職の働きは店舗の売り上げにも影響しているといえるでしょう。
4.店舗スタッフ
店舗スタッフは、飲食店内での接客や、キッチンでの調理を担います。仕事内容は、飲食店内ホールでの接客対応やキッチンでの調理業務、予約の管理にレジ対応、清掃や食材の管理と幅広いのが特徴です。
最もお客様と関わる場面が多く、スタッフのふるまいや対応が飲食店全体のイメージいに直結することも多いでしょう。そのため、接客スキルや礼儀など、正しい立ち居ふるまいが求められます。
未経験から飲食業界に転職する際の注意点3つ
飲食業界はやりがいのある仕事が多く魅力的ですが、一方で知識不足のまま転職を進めてしまうと「思っていた仕事と違った」と納得いかない結果になってしまうことも。ここからは、未経験から飲食業界への転職を考えている方が気をつけるべき注意点を2つ解説します。
1.労働環境が過酷な場合がある
飲食業界は、時に厳しい労働環境の中で働かなければならない可能性があります。飲食店ではアルバイト従業員を多く採用している場合があり、中には突然仕事を休む、急に辞めてしまう人が出ることも。
アルバイトから欠員が出る、もしくは慢性的に人手不足の職場では、人員確保までの埋め合わせは社員の仕事となります。そのため、場合によっては長時間労働になってしまったり、休日を返上し出勤したりと仕事と私生活のバランスが取りにくくなりがちです。
時に厳しい環境の中であっても、夢の実現や目標の達成など、強い目的意識を持ち仕事に臨む覚悟が求められます。
2.キャリアアップしづらい
飲食業界は、他の業界に比べキャリアアップが難しいという点にも注意が必要です。飲食業界で働く人々の中には、「将来独立を目指す」「自分の店を持つ」などのキャリアを描く人が多いです。
一方で、企業に勤めるサラリーマンのように、同じ会社で働き続けるといった長期のキャリアプランが立てにくい傾向にあります。飲食業界でのキャリアアップは、たとえば店舗の店長やマネージャー、エリア責任者や本社勤務などがありますが、そのどれもが数が限られており、誰にでもなれるものではありません。
また、たとえ昇進をはたしても売り上げ実績によっては降格となってしまうことも。そのため、自分が何を目指してこの業界を志望するのか、目標の達成に飲食業の経験は役立つかどうかをよく考えた上で転職を考えてみるとよいでしょう。
3.クレーム対応が必要な場合がある
飲食業は多くの人と関わる仕事のため、ときにクレーム対応に追われる場合があります。「料理が冷めている」、「注文とは違う料理がきた」など、料理のトラブルによるお客様からのクレームも少なくありません。
つい「嫌なこと」と思いがちですが、クレームは店舗やスタッフの改善点を発見できる大切な要素でもあります。嫌だからと避けてしまうのではなく、より良い接客や料理の提供のために耳を傾けられる力が必要になるでしょう。
まとめ
飲食業界の職種は幅広く、一般的にイメージしやすい店内の接客対応や調理だけではなく、メニューの開発や店舗の設置に関わる調査、より利益を上げるためのマーケティングとさまざまな仕事があります。
そのため、未経験から飲食業界への転職を考える際は、自分がしたいことや将来の目標に近い職種はどれなのか、じっくり考えることが大切です。
































