はじめに
退職後、次の仕事が決まっていない方は、雇用保険(基本手当)の受給を検討しているでしょう。基本手当は、失業保険中の貴重な収入です。しかし、どのようにしたら受けとれるのか悩まれる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、受給資格手続きの方法などを紹介します。必要書類が揃ったら、スムーズに手続きを進められるように事前に確認しておきましょう。
雇用保険(基本手当)を受給する手続き
雇用保険基本手当は、一般的には「失業給付」「失業手当」とよばれるものです。ここでは受給手続きについて解説します。
1.退職の手続きを行う
退職する際には、会社に「雇用保険被保険者証」の所在を確認しましょう。雇用保険に加入をすると被保険者証が発行されます。会社によって、会社保管と本人保管のケースがあります。もし本人保管の場合で、手元に見当たらない時には、再発行の手続きも可能です。
また退職する前には、会社の担当者に「離職票」が必要である旨を伝えましょう。会社の担当者の方から確認されるケースもありますが、依頼されてから処理する会社もあります。離職票には、本人と会社が確認して記入する欄もあるため、在職中に伝えて準備をすると退職後にスムーズに発行手続きを進めてもらえるでしょう。
自分の手元に離職票が届いたら、自分の住民票を管轄しているハローワークに行き、受給手続きをします。手続きの際の持ち物は次のとおり。
■持ち物
・雇用保険被保険者離職票(離職票-1、2)
・マイナンバーカードなどの個人番号確認書類
・身分確認書類
・写真2枚
・印鑑
・本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
2.受給資格の決定
ハローワークで求職の申込をします。基本手当を受けとるためには、「働く意思がありいつでも就職できるのに次の就職先が決まらない失業状態」と認定される必要があります。退職後はしばらく休養するため働く意思がない方や就職せずに資格取得の勉強に専念したい方などは、失業状態とはいえません。
また、独立予定で開業準備中の方や役員に就任(予定も含む)する方も非該当。病気やケガ、妊娠・出産などで働ける状態にない方も認定されませんが、手続きにより受給期間を延長できます。
次に、雇用保険に加入していた期間の確認が必要です。自己都合退職などの一般被保険者は、「退職する前の2年間に基本給の対象となった日が11日以上ある月が、通算で12カ月以上ある」ケースが対象。欠勤が多く11日未満だった月は除外されます。
倒産、リストラなどの会社都合での退職の方や自己都合でも正当な理由がある方は、加入期間が半分(退職する前の1年間で基本給の対象となった日が11日以上ある月が通算6カ月以上)で対象になります。
3.待期期間
基本手当は、ハローワークに離職票を提出し、求職の申し込みを行い、受給資格が決定した日が受給資格決定日となります。全ての求職者がこの日から7日間が待期期間となり、期間中は働けません。もし働いた場合、待期期間が繰り越しになるため注意しましょう。
4.受給説明会に参加
手続きをし、受給資格が確認されたら「受給者のしおり」が渡され、雇用保険受給説明会の日程が案内されます。説明会は参加必須のため、日時を間違えずに参加しましょう。
説明会ではしおりの中身の説明があり、「雇用保険受給資格証」「失業認定申告書」が配布されます。ハローワークの利用方法や、職業訓練学校や就職セミナーの紹介があるケースも。
5.失業の認定を受ける
基本手当を受け取るためには、失業認定日に自分自身でハローワークに行きます。やむをえない事情以外は、認定日の変更ができないため、うっかり忘れることがないように気をつけましょう。
認定日は、4週間(28日)に1回です。この日に「失業認定申告書」で失業状態にあったことを申請し、認定を受けます。認定の対象となる期間で原則2回以上の「求職活動実績」が必要です。
求職活動は、求人の応募やハローワークでの職業相談などが対象。転職情報を自宅のパソコンで検索しているだけでは、実績にならないため注意しましょう。
6.基本手当を受け取る
失業認定後、約1週間で基本手当が振り込まれます。これ以降は、認定日までに就職が決まらなければ、失業認定を受け基本手当を受給し所定給付日数分まで支給。
また、退職理由により基本手当の受給開始時期が違います。会社都合(倒産・リストラなど)による退職は7日間の待期期間満了後ですが、自己都合の方は、待期期間+2カ月の給付制限があります。
5年間のうち2回まで給付制限は2カ月ですが、3回目からは3カ月となるため注意が必要です(令和2年10月1日法改正あり)。自己都合退職では、受給できるまで期間が空くため、その間の生活費を準備しておきましょう。
再就職した場合の受給はどうなる?
基本手当を受けとっている期間に、就職が決まった際の受給の手続きについて紹介します。
基本手当の受け取りをストップさせる
失業状態が続いていれば、退職してから1年間、所定給付日数分まで基本手当が受給可能です。所定日数は、雇用保険に加入していた期間や退職の理由、退職時の年齢によって決まります。所定日数が残っている状態で再就職が決まったら、基本手当の受給を止めるためにハローワークに連絡をしましょう。
その後、就職する日の前日にハローワークに行き、就職の届出と就職前日までの失業認定を受けます。就職の前日が休日の時には、前営業日に手続きをしましょう。新しい職場での採用証明書の提出が必要ですが、後日郵送での対応もできます。
再就職手当が貰える場合がある
早期に次の就職先が決まると再就職手当が支給されるケースがあります。支給額は、所定日数の残日数で変わります。
・残日数が3分の2以上→「基本手当日額×残日数×70%」
・残日数が3分の1以上→「基本手当日額×残日数×60%」
基本手当を受給している方で、早く次の仕事が決まり、基本手当の残日数が多い場合、給付率が高くなるのが特徴です。手続き方法は、ハローワークで基本手当を止める就職の届出をした時に「再就職手当支給申請書」に記入。受理後、約1カ月で手当が支給されます。
失業給付を満額もらいたいと思う方もいるでしょう。しかし、失業期間が長くなると精神的負担も大きくなることも。早期に次の就職が決まれば、新しい職場での給与に加えて再就職手当も受け取れます。精神的、収入的にも余裕があるうちに再就職ができるように準備することをおすすめします。
まとめ
仕事を辞める時に次の職場が決まっていない方は、離職票を受けとり次第、基本手当の受給手続きを進めることをおすすめします。申請したらすぐに振り込まれるものではなく、待期期間や給付制限があるため、退職後に数カ月の生活費の確保は必要といえます。
また、3分の1以上の給付日数が残っていると、再就職手当がもらえることも覚えておきましょう。スムーズに手続きをし、早期の再就職を目指しましょう。
































