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【知財ビジネス】訴求力ある無形資産の情報開示に注力を

イノベーションを実現するにはどうすべきか。企業価値研究の第一人者で、「伊藤レポート」で知られる伊藤邦雄氏(一橋大名誉教授)は先ごろ、知財関係者向けに行った企業価値創造とコーポレートガバナンス・コード(企業統治原則)に関する講演会で「これからのキーワードは、表現方法の競争だと思っている」と語った。

欧米の企業価値評価は現在、無形資産とその活用や統治のあり方を重視しており、米国トップ企業では企業価値の8割以上を無形資産が占める。無形資産とは知財、技術、ブランド、データ、ノウハウ、顧客や取引網、人材や組織能力・プロセスなどのことだ。しかし、情報開示に関する海外投資家の意識を調査した米国企業の担当幹部は「日本の経営者が話す内容は将来を見据えた投資判断の参考になる無形資産情報が乏しい、との声が多い」と言う。投資を得られなければイノベーションの実現は難しい。

金融庁と東京証券取引所は昨年6月、コーポレートガバナンス・コードを改定。上場企業に対し、分かりやすい無形資産情報の開示を求めた。課題は、どんな表現方法をとればよいか。無形資産の説明は難しい。伊藤氏が「表現方法の競争」という言葉で、企業が自由に情報開示すればいいことを示唆した意味は大きい。伊藤氏は「表現方法においてロジック、ストーリーをどう組み立てるかは企業全体で議論すべきだ。無形資産への投資や活用は経営戦略そのもの。取締役会も変革すべきだ。そこでちゃんと議論し、適切な監督が大事だ」と指摘した。

経済産業省は平成19年に中小企業のための知的資産経営マニュアルをまとめ、ステークホルダー(利害関係者)に対し、自社が持つ無形資産がいかに企業価値を生むかを説明している。これは創業間もないスタートアップ企業やベンチャー企業の経営者が日々、投資家向けに話していることでもある。大企業ではその量が多く複雑になる。難しく感じる無形資産だが、訴求力ある情報開示の可否が重要になってきている。(中岡浩)

中岡浩(なかおか・ひろし) 法大法卒。金融専門紙記者、金融技術の研究を行う財団法人などを経て、知的財産に関する国内最大の専門見本市「特許・情報フェア&コンファレンス」の企画や、知財に関する企業取材に従事。ジャーナリスト。高知県出身。


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