50代の転職は難しい? 転職事情と求められる人材の特徴を解説

    はじめに

    転職活動はどんな方でも不安が伴うことが多いものですが、特に50代といった年齢になるとなおさらです。「転職を考えているけれど、この年齢ではどこも採用してくれないのでは」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。

    しかし、採用活動を行う企業の中には、50代だからこその強みを求めているケースも多いのです。今回は、50代の転職について、転職事情や企業が求める人材の特徴を詳しく解説します。

    ※画像はイメージです(GettyImages)
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    50代の転職事情とは?

    ここでは、50代の転職事情を解説していきます。50代の転職はもちろん可能ですが、他の年代に比べると不利な部分もあるのです。転職事情をしっかりと把握することが、転職を成功させる一歩となるでしょう。

    50代の転職者は他年代よりも少ない

    50代の転職者は、他の年代の転職者と比べると少ない傾向にあります。それは、転職後の入職率からも明らかです。

    厚生労働省により「年齢別階級の入職率」調査では、令和2年上半期の時点で、50代前半の男性では全体の2.4%、50代後半では3.4%といずれも低い推移となっています。20代前半の入職率が24.7%、後半でも10.7%であることを鑑みると、転職者自体が少ないのがわかります。

    女性の場合は50代前半、後半ともに5.8%と一見男性よりも多いように見えますが、これは女性の場合パートタイムや非正規雇用者が多いことに起因しているのです。そのため「正社員としての転職」を目指す転職者としては、50代は他年代と比較して少ないといえるでしょう。

    引用:令和2年上半期雇用動向調査結果の概要

    転職活動が長期化する可能性がある

    50代での転職活動は、若い年代よりも長期化しやすい傾向にあります。一般的な転職活動から就職までの期間は3か月程度が目安とされていますが、50代での転職活動では条件と合う求人の検索や応募といった通常の活動にくわえ、選考まで進んでも「年齢」や「人件費」を理由に不採用となってしまう場合が少なくありません。

    そのため、他の年代と比べ内定を得るまでに時間がかかってしまう傾向にあるのです。そのため、転職を考えるならば、想定よりも転職活動が長期化する可能性をあらかじめ覚悟しておく必要があります。

    年収がダウンする可能性がある

    50代での転職が成功しても、転職する前よりも年収が下がってしまう場合があります。これは、応募者の能力を転職先の企業がどう評価するかによって、給与など待遇が変動する可能性が大きいためです。

    中途採用では、応募者の職務経験や能力、実績までを含めて採用の可否を評価します。50代を対象とする選考は、くわえて専門知識やスキル、マネジメント経験なども重要な評価要素となります。そのため、より豊富な経験や能力を持っていれば、採用やその後の待遇に大きく影響するでしょう。

    その一方で、評価はあくまで雇用側である企業が行うもの。たとえ自信のあるスキルや経験も、満足いく評価や待遇につながるとは限りません。また、前職の経験が長ければ勤務年数で付いていた手当などもなくなり、また1からのスタートとなります。そのため、転職した結果前職よりも年収がダウンしてしまう可能性を考慮しておきましょう。

    正社員以外の選択肢も視野に入れる必要がある

    正社員を目指す転職活動が難航してしまった場合に備え、正社員以外の選択肢も視野に入れておくべきです。50代以降の中途での正社員採用は、年齢や人件費といったさまざまな理由から、若い世代と比べ減少します。

    そのため、就職先を見つけるにあたり非正規雇用も検討するなど、柔軟な対応が転職成功のポイントとなる場合があります。正社員を目指すのは決して不可能ではありませんが、万が一就職先を見つけるのが困難な場合を想定し、正社員以外の選択も考えておくべきでしょう。

    50代の転職が難しい理由2つ

    ※画像はイメージです(GettyImages)
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    「50代の転職が難しい」と言われる理由は大きく2つです。ここでは、その理由を解説していきます。

    1.若手よりも人件費がかかるため

    50代は、若手よりも給与が高いために、採用企業にとっては「人件費がかかりすぎる」と判断されてしまう傾向にあります。転職活動にあたり「前職と同等、もしくはそれ以上の給与」を目指す方も当然いるでしょう。専門的なスキルや知識を持っている場合や、前職にて高いポストに就き相応の収入を得ていた場合はなおさらです。

    しかし、だからと言って選考時に企業に対して前職やスキルに見合った給与を望むと、経験の少ない若手と比べその人件費は高くなってしまいます。その結果、応募企業にとってネックとなり50代の採用に至らない場合があるのです。

    2.定年に近い世代のため

    企業において、定年の年齢は60~65歳で設定されているのが一般的です。そのため、50代の転職者は、定年に近い年齢であるために企業にとって採用しにくい人材と見なされる場合があります。たとえば、仕事を覚えたタイミングで定年を迎え退職してしまうと、企業は新しい人材を再び探さなければならないだけでなく、人手不足など他の社員にも影響が出ることも。

    よって、「採用しても数年で定年退職されてしまうのでは、採用コストに見合わないのではないか」、「定年までの少ない期間で成果を上げられるのか」という観点から、選考における評価がより厳しくなる場合もあるでしょう。その結果、定年に近い世代である50代は、転職活動が難しいとされているのです。

    企業はこんな50代の転職者を求めている

    「50代の転職が厳しいのはわかったけれど、それでも転職したい」「難しくても納得のいく転職活動がしたい」という方に、ここからは企業が求める50代の転職者について解説します。

    1.即戦力となるスキルや豊富な経験値がある人材

    中途採用において企業が重視するのは、「即戦力となるスキルや経験値があるかどうか」です。そのため、不利とされる50代の転職においても、企業にとって有用であると評価されるスキルや豊富な経験値をアピールできれば、転職活動の成功率は上がります。

    応募する企業や求人内容によっても変わりますが、「即戦力となる人材ならば年齢は関係ない」と考えている企業も少なくありません。そのため、専門的な能力や経験があるのならば、積極的にアピールが重要です。

    2.マネジメント能力がある人材

    50代の転職者は、専門的な知識や豊富な経験だけでなく「マネジメント能力」も求められる場合があります。他企業で長年働いてきた中で、同僚や部下に限らず、部署全体を組織としてまとめ管理した経験を持っている方もいるでしょう。

    人材を適切かつ柔軟に管理し、円滑に業務を進めるために不可欠なマネジメント能力を持つ人材を求める企業は多いです。そのため、チームや部署のトップとしての実績を持っている場合、その経験が転職活動において大きな強みになるでしょう。

    3.会社をリードしてくれる人材

    前職にて、経営幹部や事業部門のトップなど、何らかの役職についていた場合は企業にとって興味を持たれやすくなります。50代向けの求人では、部署や部門、新規拠点の責任者としての募集を行っている企業もあり、そのような企業では業務をリードする力が重視されます。

    そのため、責任者や経営幹部として、業務や会社をリードした経験があれば選考でも評価が高くなりますし、前職の経験を活かせるポストへの転職が叶う可能性が高まります。

    50代の未経験者にもおすすめの転職先は?

    もし50代での転職において未経験の職種を目指す場合、50代かつ未経験でも働きやすい職種を見極める必要があります。男性であれば、体力に自信がある方は「警備職」全般がおすすめです。

    また、前職で営業の経験があるならば、未経験の分野での「営業職」を目指すのもよいでしょう。女性の場合は人材を常に募集しており、かつこれまでの対人スキルが活かせる「介護・福祉職」、電話対応を行う「コールスタッフ」や「店舗販売スタッフ」「待機型の営業職」なども適しています。

    このほかにも、「タクシードライバー」や「清掃スタッフ」など、働き方にこだわらない場合はよりさまざまな選択肢があります。

    まとめ

    50代からの転職は、年齢や給与の関係など、他の年代に比べて厳しい状況になる可能性が高く、転職活動には相応の覚悟が必要になる場合もあるでしょう。転職活動で大切なのは、「自身が転職をして何をしたいのか」という自己分析や、将来のキャリアプランをしっかり考えて行動すること。

    ときに雇用形態や働き方の選択肢を幅広く持ちながら、納得のいく転職に向けて活動しましょう。


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