はじめに
転職活動における面接でよく聞かれるのが「転職理由」についてです。答え方や内容によって評価が大きく左右されるため、面接ではしっかりと伝えられるようにすべき質問のひとつです。
そこで今回は、企業が転職理由を聞く理由をはじめ、理由の上手な伝え方のポイントの解説、良いパターンと悪いパターンの回答例をそれぞれ紹介します。
企業に転職理由を聞かれる理由
企業は、「応募者が入社後に活躍できる人材かどうか」を確かめるためにこの質問をする場合があります。前職での経験や持っている資格、スキルなどは職務経歴書で確認できますが、本人が目指している将来のビジョンや仕事への意欲まではわかりません。
そのため、企業は転職理由に関する質問を通し「何を実現したくて転職に臨んでいるのか」を知り、求める人物像とのマッチ度や入社後の勤務態度を見極めようとします。
また、どんなに意欲や能力が高い人物でも、「人の好き嫌い」や「待遇」にすぐ不満を抱いて転職してしまうようでは、採用する意味がありません。選考時点で採用するか迷っている人材に対して、採用後すぐ退職してしまう可能性がないかを確認するためという意図もあるのです。
転職理由を上手に伝えるためのポイント5つ
転職理由を面接で上手に伝えるには、いくつかのポイントがあるのをご存知ですか?ここでは、そのポイントを5つ解説します。
1.志望動機と一貫性をもたせる
転職理由を伝えるときは、志望動機と内容がリンクするように意識しましょう。2つの間に一貫性があると、転職後の仕事に対する意欲や考えにより説得力が生まれます。
例を挙げると、「〇〇という仕事を通してキャリアを積み、活躍したい」が志望動機なら、転職理由では「〇〇の仕事を希望したが別の業務をせざるを得なかった」と説明します。同じ話題を組み込むことで、転職理由を説明しつつ志望動機で伝えた仕事に対する意欲の裏付けにもなるでしょう。
「現職や前職では実現できなかったことが、志望する企業では実現できる」という流れで内容を組み立てるとよいです。
2.ポジティブな表現に言い換える
たとえ転職を決意した理由がネガティブなものであっても、面接で伝える際はできる限りポジティブな表現に言い換えましょう。前職の問題点や不満ばかり並べてしまうのは、面接官にとって応募者の入社後のイメージがしづらくなります。
その上、「不満ばかりで問題を解決しようとする意欲がない」と判断されてしまう可能性も。そのため、ネガティブな問題が理由の場合は見方を変え、前向きな表現にできないか考えてみるとよいでしょう。
たとえば、「やりがいがない」は「幅広い業務に取り組みたい」と変換できますし、「人間関係」は「風通しの良い職場で皆と協力して働きたい」と言い換えられます。明るい表現を用いることで、理由を伝えると同時に前向きに働く意思のアピールにもつながります。
3.嘘はつかず具体的に転職理由を伝える
転職理由は、嘘をついたりごまかしたりはせずに具体的かつ正直に伝えましょう。偽りのない率直な理由や思いを伝える姿勢は企業にとっても好印象です。逆に、良く見せようと嘘をついて作った転職理由は、質問に答えたり深堀りして話すうちに整合性が欠けてしまいがち。
面接官に嘘をついていると見破られれば印象や評価を大きく下げてしまいかねませんので、嘘やごまかしは避けるべきです。企業にとっても自分自身にとってもプラスになるよう、本当の理由をわかりやすく伝えるとよいでしょう。
4.自信をもってハキハキ伝える
転職理由に限らずどの場面でもいえることですが、話すときは自信をもってハキハキとした声で伝えるようにしましょう。転職理由は退職など暗い話題にも触れるため、あまり良い気分ではないかもしれません。しかし、声が小さくなってしまったり、自信なさげだったりすると、面接官が応募者に対して抱く印象にも影響してしまいます。
たとえ暗い話題が含まれていても、胸を張り、はっきりとよく通る声で話すことを心がけるとよいでしょう。同じ内容でも、声や表情によって受け取る印象が大きく変わります。
5.伝えない内容を決めておく
面接を受ける前や転職理由について話す内容を考える際は、「伝えない内容」も同時に意識しておくことが大切です。転職を決意したきっかけや退職について一部始終話すのではなく、あくまで「転職後にしたいこと」や「転職で好転すること」に絞って伝えることが重要です。
たとえば、「人間関係の悪化」が理由だとしても、当時の状況や愚痴を詳細に語るのは「入社しても、また関係が悪くなれば辞めてしまうのでは」と取られてしまうことも。他にも、待遇の不満や漠然とした理由なども伝えない内容として注意しておくべきです。
転職理由の良い回答例と悪い回答例を紹介
ここでは、転職理由の良い回答例と悪い回答例を紹介しつつポイントも解説します。
転職理由の良い回答例1
「給与が低く、経済的に厳しいと感じたためです。現在の会社では年功序列の考えが根強く、勤務年数の短さを理由にどんなに成果を上げても給与には反映されません。
家庭をもつなどのライフプランを考慮し、これ以上この職場で勤務し続けるのは難しいと転職を決意しました。
貴社では、能力や成績を評価し処遇に反映していると伺っております。これまでに身に付けたスキルを活かし、公正な評価のもとで働きたいと思い志望しました。」
「給与が少ないから転職したい」だけでは、業務内容ではなく給与にしか興味がないと取られかねません。そのため、「正当に評価をしてくれる会社で、自身の能力を活かして働きたい」と前向きな結論につなげるとよいでしょう。
転職理由の良い回答例2
「今よりも、さらに主体的に業務に取り組みたいと思ったのが転職を決意したきっかけです。
私は現在、派遣社員として人事部にて勤務しております。勤務年数を重ね、今では正社員の方と同じ仕事をさせていただく機会も多いのですが、派遣社員では会議への参加が認められないことや、一部資料の確認が制限されることも少なくありません。
そのため、正社員となり責任をもって働くとともに、自ら率先してさまざまな業務に取り組みたいと思いました。」
派遣社員から正社員を目指すことを理由にする場合、安定や給与面を押し出すのではなく「仕事への意欲」や「スキルアップ」といったポジティブな理由をメインにするとよいでしょう。正社員と変わらない仕事をした経験を伝えることで、能力のアピールにもつながります。
転職理由の悪い回答例1
「現在の会社は長時間の残業や休日出勤が多く、自分の生活や趣味がおろそかになってしまうためです。長時間働いている割には給与も低く、仕事も興味が持てないために転職したいと思いました。」
「何をしたいか」や「将来へのビジョン」などがまったくなく、不平不満ばかりを並べています。暗い発言が続いているため面接官にも良い印象を与えず、「やる気がない」と受け取られかねません。長時間労働や給与面がきっかけの転職であっても、前向きな話題につなげるのが大切です。
転職理由の悪い回答例2
「転職を決意したのは、人間関係が理由です。現在勤務している職場の人と相性が合わず、とくに上司は私の仕事ぶりを常にチェックし、必要以上に注意してきます。精神的な負担から、これ以上一緒に仕事をするのは難しいと思いました。」
人間関係の詳細を伝えるのは避けるべきです。また、この回答例はすべて回答者の主観に基づいた内容になっているため、面接官には上司の対応が不適切なものかどうか判断することは困難です。場合によっては、「本人の勤務態度に問題があるのでは」「入社後も合わない人がいたらすぐに辞めてしまうのでは」と判断される可能性も。
まとめ
転職理由は、内容が退職に関わるもののため前向きな表現につなげにくい場合や、内容においても気をつけるべき部分が多く「難しい」と感じる方もいるでしょう。
しかし、転職理由は志望動機と一貫性を持たせることで仕事の意欲を強くアピールしたり、転職後の希望や目標をより具体的に伝えられたりする話題でもあります。ぜひ今回紹介したポイントや回答例を参考に、企業に好印象を与えられる転職理由を考えていきましょう。
































