就活解禁、採用意欲は回復 ウェブ浸透で辞退増加も

    合同会社説明会に臨む学生ら=1日午前、東京都江東区の東京ビッグサイト(鴨志田拓海撮影)
    合同会社説明会に臨む学生ら=1日午前、東京都江東区の東京ビッグサイト(鴨志田拓海撮影)

    令和5年春に卒業予定の大学生・大学院生の新卒採用の会社説明会が1日解禁され、就職活動が本格的に始まった。昨年は新型コロナウイルス禍の影響で採用が縮小したが、今年は大多数の業種で採用意欲が回復。オンラインが浸透したことで、学生側の選択肢も広がっている。一方で選考や内定の辞退増加が指摘されており、双方の理解を深めるコミュニケーションが一層大切になりそうだ。

    就職情報会社はこの日、各地で合同説明会を開催。リクルートが東京ビッグサイト(東京)で開いた説明会には約250社が出展し、担当者らが熱心に学生に声をかけていた。埼玉県の大学3年の女子学生(21)は「解禁日なので、気を引き締めようと会場に来た」と意気込んだ。

    リクルートの調査では、5年卒の採用見通しを前年より「増える」とした企業は10・9%。4年卒時は前年より「減る」とした企業が11・6%と過去10年間で最も多かったが、5年卒は3・9%に落ち着いた。コロナ禍で打撃を受けた飲食店・宿泊業でも、人手不足の懸念から「増える」が「減る」を大きく上回った。

    オンライン化により、学生側は効率的に多くの企業に応募できている。4年卒の学生が個別企業のウェブ説明会に参加した平均回数は、3年卒より約6社多い約16社。エントリーシートなどの書類提出も約2社多い約17社に伸びている。

    優秀な学生を早く採用したい企業側の意欲も熱を帯び、マイナビの分析では企業が5年卒の内々定出しを開始する時期は4月が最多。3月の内々定率も、4年卒を上回るとみている。

    一方で、簡単に学生が集まる分、選考辞退や内定辞退の数も増えており、リクナビの栗田貴祥編集長は「企業は社風や働き方を十分に開示できるかがポイントだ」と指摘する。実際に5割の企業が「自社の魅力の伝達」に課題感を抱え、8割がウェブ選考では「職場の雰囲気や組織風土」を伝えづらいと回答した。

    学生側にも直接の対話の機会を望む声はあり、合同説明会に参加した都内の大学3年の男子生徒(21)は「志望企業に直接質問して顔を覚えてほしい」とリアルの場を有効活用する考えだ。

    マイナビの担当者は「双方の感情的なつながりが薄くなっている。目的に応じてリアルの場で理解を深めることも重要だ」と指摘している。(加藤園子)


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