はじめに
転職、就職活動において、面接はもっとも重要なイベントと言っても過言ではないでしょう。本番に臨むにあたり、「聞かれそうな質問に対して答えられるよう、あらかじめ準備しておこう」という人も多いもの。
本番で言葉に詰まってしまわないよう、しっかり対策は行いたいですよね。そこで今回は、面接でよく聞かれる内容について、質問例と回答例を紹介します。
面接で採用担当者が見ているポイントは?
面接時に気になるのは、「面接の中で、自分の何が評価のポイントとなるか」ではないでしょうか。採用担当者が評価の基準として見ているのは、主に次の3つです。
・業務内容とのマッチ度
・コミュニケーションスキル
・会社(組織)の雰囲気や風土に馴染める人材かどうか
たとえば、前職ではどんな業務に携わっていたのかという質問は、応募者の経験や身に付けたスキルから、募集職種において有用な人材かどうかを測れます。また、受け答えの印象が良ければコミュニケーションスキルは充分と評価できるでしょう。
そして、キャリアプラン、仕事における価値観に対する質問への回答は、自社の雰囲気にマッチする人材かどうか見極める判断材料として適していると言えます。このように、採用担当者はさまざまな質問を通して、応募者が採用に足る人材であるかを見ているのです。
【回答例あり】面接でよく聞かれる質問集
採用担当者が見ているポイントを踏まえた上で、ここからは面接の際によく聞かれる質問について、解説と回答例を合わせて紹介します。
自己紹介に関する質問
すでに履歴書や職務経歴書に記載済みの内容を、改めて確認する意味で聞かれる場合が多い質問です。そのため、回答は履歴書などに記載してある内容をコンパクトに要約し伝えます。ただし、長い時間話すのはNG。目安としては、1分程度が最適です。
【質問例】
①「では改めて、自己紹介をお願いします。」
②「これまでの仕事では、どのような働き方をしていたのですか?」
【回答例】
②「事務職として勤務し、社内で使用する資料の作成やデータ入力、備品管理、他部署のサポート業務に取り組みました。仕事をする上では、正しい情報をいち早く共有するために円滑なコミュニケーションが何よりも重要と考え、会話の一つひとつを丁寧に行うよう心掛けていました。」
転職理由・退職理由に関する質問
転職や退職の理由は、採用担当者が重視するポイントのひとつ。「採用しても、すぐに辞めてしまう人材は困る」と担当者が考えるのは当然です。そのため、担当者が納得できるような説得力のある理由を答えましょう。
【質問例】
①「前職を退職した理由はなんですか?」
②「今回、転職しようと考えたのはなぜですか?」
【回答例】
②「今までの仕事で得た経験やスキル、知識を、もっと活かせる会社で働きたいと考えたためです。御社の事業内容を拝見し、〇〇の開発に力を入れていると知り、前職での〇〇に携わった経験を活かせると思い転職に至った次第です。」
志望動機に関する質問
「どうしてこの会社を希望するのか」については、転職・退職理由と同じく重要な事柄です。たとえば、「××な社風に惹かれた」「△△のサービスに魅力を感じた」などが一般的です。しかし、明確な根拠や熱意がなければ「同じような所ならどこでもいいのでは?」と思われてしまう場合も。そのため、「この会社だからこその理由」を話せるようにしましょう。
【質問例】
①「改めて、当社を志望した理由をお聞かせください。」
②「同業他社ではなく、当社を選んだのはなぜですか?」
③「当社の代表者について、その名前をお答えください。」
【回答例】
②「御社の、お客様の悩みやニーズに寄り添った経営を行うという企業理念に魅力を感じたためです。御社は、丁寧な営業活動を通じて、顧客それぞれが満足できるようなサービス展開を心がけているとお聞きしました。製品を一方的に販売するのではなく、真にお客様のことを考えているのだと知り、私も御社でお客様のためになる仕事をしたいと感じ志望しました。」
スキル・能力に関する質問
スキルや能力に関する問いかけをされるのは、自己紹介や志望動機を踏まえた上で、「ならば自社でどのような業務で活躍できるか」をより具体的に想定するためです。よって、応募職種の業務を深く理解した上で、自身の持つスキルや資格といった能力の中で活かせるものを経験・実績をもとに話すとよいでしょう。
【質問例】
①「業務で活かせるような資格はお持ちですか?」
②「これまでの経験の中で、当社において活かせるスキルがあれば教えてください。」
【回答例】
②「会計事務のお仕事の経験から、会計データの処理速度には自信があります。月末月初の会計業務の中で、数百件の取引の会計データの入力業務に務めた経験により、タイピング、および迅速かつ正確な処理能力を身に付けました。このスキルを、御社の事務業務でも活かせると考えています。」
キャリアプランに関する質問
採用後にどれほどの活躍を見せてくれるのか、自社に貢献してくれるのかは、会社側も気になるところ。そのため、キャリアプランの回答を通して、将来の目標が自社の風土や経営方針にマッチしているかを測ろうとします。そのため、自身の目標、将来像をしっかりと伝えましょう。
【質問例】
①「入社後、何をしたいですか?」
②「採用されたら、どのように会社に貢献していただけますか?」
③「将来の目標・夢についてお聞かせください。」
【回答例】
③「私の夢は、営業として現在以上に成長し、お客様に「あなただから一緒に仕事がしたい、商品を買いたい」と言ってもらえるようになることです。営業技術だけではなく、いち社会人としても常に向上を目指し、お客様、そして自社の発展に貢献できる人物になりたいと思っています。」
希望条件に関する質問
給与や休日など、希望条件にまつわる質問は少し答えにくいもの。しかし、担当者はこの質問によって「希望条件によって入社度が変動しないか」という点を見極めている場合があります。もし譲れないものがあるならば、はっきりとその条件を伝えましょう。
【質問例】
①「希望年収がありましたら教えてください。」
②「車での通勤は可能ですか?」
【回答例】
①「現在、同業種にて勤務しており350万円の年収ですので、同等、もしくはそれ以上を希望します。近く、業務に役立つ資格を取得予定ですので、そちらを加味いただきたく思います。」
②「自動車運転免許を取得しており運転は可能ですし、募集要項にて通勤費支給と拝見しましたので、問題なく対応可能です。」
答えにくい質問
企業によっては、ときに「答えにくい質問」を投げかけることも。これは、応募者の対応力や頭の回転の速さなどが試される質問でもあります。きちんと回答ができれば高評価になりやすいですし、質問の意図がわからない場合も適宜確認を取りましょう。どんな質問であれ、「答えよう」という姿勢を見せることが大切です。
【質問例】
①「あなたの長所・短所は?」
②「あなたにとって苦手な人はどんな人ですか?」
【回答例】
②「私は、不誠実な人を苦手に感じてしまいます。大事な約束の時間を守れなかったり、人の話に耳を傾けなかったりする人は、「私に興味がないか、迷惑をかけてもかまわないと思われているのか」と感じるためです。
しかし、誠実・不誠実な対応は人によっても異なる上、その時の状況によってやむを得ずそういう対応になってしまった場合もあると考えています。そのため、むやみに関わるのを避けるのではなく、相手の行動や意図、ペースに寄り添うように心がけています。」
逆質問
面接が終わる頃には、採用担当者の側から「何か聞きたいことはありますか?」と「逆質問」をされることも。この場合、「特にないです」や「大丈夫です」など、興味がないと捉えられる回答はNG。事前に、気になることをまとめておくのがおすすめです。
【質問例】
「最後に、何か聞きたいことは?」
【回答例】
「御社で仕事をする上で、もっとも必要となるスキルや心構えがありましたら教えていただきたいです。」
「入社までに身に付けておくべきことや学んでおくことはありますか?」
まとめ
面接における質問への回答で気をつけたいのが、「全ての質問に対する答えを台詞のように覚えようとしないこと」です。台詞を丸暗記するような対策では、想定済みの質問にもかかわらず、本番でのニュアンスの違いで戸惑ってしまったり、言葉に詰まってしまったりする場合も。
そのため、今回紹介した質問集についても、あくまで参考にとどめ、内容は自身の言葉できちんと伝えられるように考えるとよいでしょう。