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有事下の九電「供給計画」、資源価格高騰は立案に影響

ウクライナ情勢の深刻化もあり、資源価格の高騰が止まらない。エネルギー源の大半を輸入に頼る日本を取り巻く環境が厳しくなる中、九州電力は令和4年度の需給見通しや発電所の運用方針などを示す「供給計画」をまとめた。有事下での計画立案や今後の見通しについて、九電エネルギーサービス事業統括本部長の穐山(あきやま)泰治常務執行役員に聞いた。

インタビューに応じる九州電力の穐山泰治常務執行役員
インタビューに応じる九州電力の穐山泰治常務執行役員

――昨年来、石油や石炭、天然ガスなどの高騰が続く。燃料価格の動向は、4年度の計画立案にどのような影響を与えたか

「(需要を想定する際に)小売りだけでなく、卸供給、市場での売電などを組み合わさなければ、(収益面での)リスクを抱えるようになっている。かつてのような販売電力量の拡大一本鎗で進められる環境ではない。計画を立てる際も、そのようなバランスを取ることを意識している」

――4年度の計画では昨夏、計画停止から急遽復帰させた苅田発電所新1号機(福岡県)について、8月末まで稼働させるとした

「ロシアによるウクライナ侵攻などを受け、燃料情勢が不透明なので使えるものは動かすという考えだ。石炭を燃料とする新1号機は今冬も運転し、需給維持に貢献している」

――新1号機を再び計画停止させる9月は、玄海原発のテロ対策施設「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の完成期限と重なる。時期的に関連があるようにも映る

「基本的に関係はない。供給計画はこれまで4基中3基の稼働を織り込んで立てている。1基は保守点検作業で止まっている可能性が高いからだ。その考え方については、今年度の計画でも変えていない」

――工事現場での火災などから一時ストップしていた特重施設の工程は、不確実性が否めない。期限に間に合わず、原発が停止を余儀なくされる可能性もある。苅田新1号機を9月以降も稼働可能とする選択肢はなかったのか

「一連のトラブルについて検証と再発防止策をまとめ、先月から工事を再開した。安全最優先の工程で進めている。工程への影響を検討しているが、運転計画が変更となった場合にも、他電源の保守時期の調整などで供給力を確保していく。発電所には、運転時間にあわせた保守など法的な制約があり、単純に休止時期を後ろ倒しできるものではない。そのような事情を勘案した結果だ」

――電源の休廃止をめぐっては1日、国への届け出を事後から事前に変更する法改正案が閣議決定され、今国会で成立する見通しだ。今後の計画立案への影響をどう見るか

「安定供給は重要で、国のお考えは分かる。われわれはこれまでも、ある日突然、電源を『店じまい』するようなことはやっていない。電力広域的運営推進機関での事前掲示などの手続きも踏んでいる。そのため、実態としてはそれほど変わらない」

――電力の供給力に値付けし、発電所維持や新設などの資金の確保を目指す「容量市場」は令和6年から具体的な支払いが始まる。こうした制度で電源の存続は図れるか

「例えば苅田新1号機の維持費は過去2回の容量市場での約定価格をはるかに超える。一方、別の天然ガス火力発電所なら、単体では維持可能な水準だ。発電所によって状況が異なる」

――投資を電気料金で回収する「総括原価方式」のもとで建設された電源の相次ぐ休廃止には、一部識者から批判の声も上がる

「休廃止の判断は、設備の状況や市場での価格競争力などを検討した結果だ。さらに大きいのは再生可能エネルギーの導入に伴う稼働率の低下だ。確かに発電所の固定費部分は総括原価方式の下で賄ったといえるが、それを維持し、運転するコストは別だ。稼働予定がないのに、維持することは大きな負担になる」

(中村雅和)

【穐山泰治(あきやま・やすじ)】 昭和30年10月、山口県生まれ。東京大学工学部卒業後、54年に九州電力入社。火力発電本部部長などを経て九電みらいエナジーに出向、平成26年から令和元年まで同社社長。その後、九電企画・需給本部長を経て2年6月から現職。


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