自動運転の知見の蓄積急ぐ 西鉄とJR九州

西日本鉄道が公開した大型バス自動運転の実証実験。運転士が座っているがハンドル操作はしていない

西日本鉄道とJR九州がそれぞれ大型バスと鉄道で自動運転による実証実験を進めている。自動運転は運転手不足を補う切り札となり得るが、導入には安全輸送の確保が大前提だ。公共交通を維持するため国も自動化の要件など制度整備を進めており、両社は自動運転時代の本格到来に向け知見の蓄積を急いでいる。

西鉄は10日、福岡市の福岡空港で、大型バスの自動運転を公開した。運転士は乗車しているが、運行はシステムが担い、カーブもスムーズに走行した。

実験は、バスを開発したいすゞ自動車と、三菱商事、福岡空港の運営会社「福岡国際空港」と共同で実施。4月8日まで空港敷地内の約1・4キロで、乗客を乗せずに1日8往復し課題を検証する。

西鉄は令和2年2月から小型と中型バスを使って自動運転の実証実験を進めてきたが、大型では初めて。大型バスは全長11メートル、幅2・5メートルで、カーブや道幅が狭いエリアの走行調整が小、中型に比べて難しい。

開発されたバスには、車両の位置や周辺の構造物を検知するための機器が搭載され、現在位置と、走行ルートが組み込まれた3Dマップを照合させながら走る。これにより設定ルートの運行を可能としている。

全国的に大型バスの自動運転の実例は少なく、西鉄は特定の条件でシステムが無人の車を操作する「レベル4」の移動サービス実現を目指して検証を進める。西鉄自動車事業本部技術部の山口哲生部長は「所有するバスの大半が大型なので待望の取り組み。得られる知見を安全対策面でも活用したい」と話す。

JR九州が公開した自動運転の実証実験。障害物発見に備え、運転士は常に列車停止ボタンに手を添えている

一方、JR九州は9日、福岡市東区を走る香椎線の一部区間で実施している自動運転実験を、香椎線全線(25・4キロ)に拡大するにあたり、試運転を公開した。システムによる加速、減速や駅への停車などが問題なく実現できていると判断し、12日から同線の1日の運行本数のうち、46%にあたる77本が自動運転となる。

先頭車両には運転士が乗っているが、運転はせず、信号機などの確認や、障害物を発見した場合の緊急停止操作などをする。JR九州は、こうした自動運転のサポートについて、令和6年度末までに運転士免許を持たない係員が行う運行の実現を目指している。

実験は令和2年12月に香椎線の西戸崎-香椎間でスタートし、総走行距離は約8万キロに。対象区間の拡大に合わせ、車両数が変わっても駅舎に近い位置に停車する機能などを追加し、年間30万キロ以上の走行で知見を蓄積する。

同社は自動運転実現にあたり、既存設備を最大限生かしている。保安装置として国内の鉄道で多く採用されているATS(自動列車停止装置)をベースとし、安全機能を高めるシステムを鉄道信号メーカーの日本信号(東京)と連携して開発。他社に先駆けて走行実験を進めている。

JR九州安全創造部の青柳孝彦主査は「大きなインフラ投資を伴わず、設備を後付けすることで、自動運転を実現する。他社にも水平展開できるよう、メーカーと協力したい」と語った。

鉄道の自動運転は国土交通省の技術検討会で議論が進められており、3月末までに結果がまとめられる。JR九州はこれを踏まえて、自動化技術の導入を進めていく方針だ。(一居真由子)


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