山中伸弥氏「iPS研究にゴールない」 所長退任後も資金確保支援

オンラインでインタビューに応じる山中伸弥氏=22日午後
オンラインでインタビューに応じる山中伸弥氏=22日午後

2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞した山中伸弥氏(59)が、3月末に京都大iPS細胞研究所の所長を退任するのを前に、オンライン形式で産経新聞社などのインタビューに応じた。「所長を退くのは人生最大の決断だったが、iPS細胞の研究にゴールはない」とし、退任後も資金確保などでの支援を続ける意向を示した。

所長の後任には、iPS細胞を使ったパーキンソン病の治療を目指すiPS研の高橋淳教授(60)が就任する。山中氏は「世界を代表するような研究者にバトンタッチし、研究は脈々と続いていく」と語った。

山中氏は平成22年のiPS研設立当初から、6期12年にわたり所長を務めており、iPS研での実績について「当初は不可能だと思っていたが、臨床で患者に使えるような細胞を製造できるまでになった」と振り返った。

iPS細胞を使った医療応用が実現していないことに対しては、資金面の課題を指摘。「米国では多様な研究分野で巨額な投資が行われることでベンチャー企業が実用化に成功し、貢献してきた」と述べる一方で、日本では支援が滞っている間に技術や頭脳が米国に流出する事態に陥っているとの懸念を示した。その上で「開発のゴールに近づくほど資金がかかる。ここからが勝負で、国と企業との橋渡しをしたい」と述べ、現在理事長を務めるiPS研の付属機関「iPS細胞研究財団」で引き続き理事長を務め、資金確保などを支援するとした。

山中氏は所長退任後も教授として京大に在籍し、研究を続ける。具体的には、約25年前の米国留学時代に発見し、iPS細胞開発のきっかけにもつながった遺伝子の別の役割解明に取り組むとした。最先端の医療技術などをテーマにした2025年大阪・関西万博についても「できるだけの貢献をしたい」と述べた。

山中氏は平成18年、生物の皮膚や血液から採取した細胞に特殊な遺伝子を導入することで多様な細胞に変化・成長できるiPS細胞の作製にマウスで成功。翌19年には人で成功した。iPS細胞の技術は、病気で失われた細胞や組織を移植し治療する再生医療に応用され、体外で病気の状態を再現したり、薬の効果を確かめたりする研究も進んでいる。

「心臓病で死なない世界」実現の鍵は 山中伸弥氏iPS開発16年


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