はじめに
皆さんは、「経営企画」という仕事についてご存知ですか? 経営企画は、ときに企業の根幹をも担う重要な業務。中には、転職を決意するにあたってこの「経営企画」の仕事がしたい! と求人を探す方もいるでしょう。そこで今回は、経営企画とはそもそも何なのか、その仕事内容ややりがい、必要となるスキルや資格と合わせて転職を目指す方法を解説します。
経営企画とは?
経営企画とは、端的に言うとその名の通り「経営にまつわる事業や戦略の立案・企画を行う」仕事のことです。経営計画の良し悪しは、会社全体の利益や成長に直結する要素のため、それを担う部署である「経営企画」は、会社において社内の要、もしくは花形部署だと見なされており、憧れる人も多い職種のひとつです。
▼事業企画との違いについて
よく混同されがちな業務に、「事業企画」というものがあります。経営企画が会社の経営にまつわる成長戦略や人材や物資、資金といった経営資源の分配計画を担うのに対して、事業企画は主に「新規事業や既存事業」にまつわる業務に取り組む仕事です。
たとえば、目標が「利益を出すこと」であった時、経営企画が「会社全体の利益」を目指すのに対し、事業企画が目指すのは「ひとつの事業での利益」となります。そのため、経営企画は会社全体を、事業企画は事業のひとつひとつを見ていると考えれば、その違いがわかりやすいと言えるでしょう。
経営企画の仕事内容
経営企画の仕事内容は多岐にわたりますが、大まかに分けると「企画」「調整」「渉外」の3つであるとされています。それぞれの主な仕事内容は、以下の通りです。
【企画】
中期経営計画の立案、新規事業の戦略を練る、社内プロジェクトの提案などを行うメイン業務です。ときに、外部のコンサルティング企業の支援を受けながら戦略や計画を立てる場合もあります。
【調整】
計画を立てたら、その計画や目標を達成するために「環境」を整える必要があります。経営陣の方針と各実務部門が同じ目標を目指せるようにするのも経営企画の大切な仕事であり、これが「調整」業務です。たとえば、各部門への適切な予算の配分や人材の配置などがこれにあたります。
【渉外】
会社の経営は、内部だけに注視していては成り立たず、業務上の取引先やパートナーといった社外の企業、関係機関とも互いの利益が損なわれないよう交渉することが重要です。この仕事が、「渉外業務」となります。一例ですが、お互いの会社の経営陣が決定した方針を、双方の合意や連携業務の開始前に両社の経営企画同士が打ち合わせ、下準備を行うのも渉外のひとつと言えるでしょう。
以上が経営企画の主な仕事内容ですが、大企業や中小、ベンチャーなどの会社の規模や事業内容によっては、それぞれの業務の重要性や優先順位、具体的なタスクは異なります。
経営企画のやりがい
この仕事のやりがいは、「企業の経営、ひいては企業の未来を動かす課題に取り組み、やり遂げる達成感」という部分が大きいと言えるでしょう。経営企画は、ごく限られた一部の人材しか携わることができず、さらにひとつひとつの業務や判断が会社全体に影響する責任の重大な仕事です。そのため、自身が立てた計画や戦略によって会社が業績を上げる、もしくは成長したと結果が出たときに、大きな達成感を得られるでしょう。
また、経営企画は会長や社長といった経営層を担う相手や、各部署の代表といったスキルの高い相手と仕事をする機会が多いもの。そのため、レベルの高い相手と仕事をすることで自身が成長できる点をやりがいと捉えることもできるでしょう。そして、先ほど仕事内容でも説明した通り、この仕事は経営層と実務を担う各部署の間を取り持つ業務も多々あるため、様々な相手と円滑なコミュニケーションを取る必要があります。そのため、人とコミュニケーションを取るのが好きな方にとっても、この点はやりがいのひとつとなり得るようです。
経営企画に求められるスキル・資格
ここからは、この業務において持っていると役立つスキルや資格について解説します。まず、資格については以下を持っていると有効だとされています。
【役立つ可能性の高い資格の一例】
- MBA:日本においては「経営学修士」や「経営管理修士」と呼ばれることも
- 中小企業診断士
- 公認会計士
- 税理士
これらの資格は、いずれも経営に関する深い知識が必要となるものです。そのため、この資格を持っていると業務に役立つと言えるでしょう。
また、企画経営の仕事は社内外の相手に向けて立てた目標や戦略を解説することが不可欠です。そのため、相手に自身の主張や考えを的確に伝えられる「プレゼンテーション能力」が求められるでしょう。また、調整や渉外の業務において、「コミュニケーション能力」も同様に重要なスキルです。そして、企業の規模や事業内容によっては、社外でのコミュニケーションにおいてときに英語が必要となる場面も。そのため、「語学力」も有利なスキルと考えられるでしょう。
経営企画の仕事に向いている人
この仕事に向いているかどうかは、上記のスキルや資格を持っていることももちろん大切ですが、「考え方」や「性格」の面も非常に重要です。
たとえば、経営企画には膨大なデータや情報をもとに会社の方針や課題を処理していく必要があるため、「論理的思考」ができるか否かがとても重要となるでしょう。また、この仕事はときに経営陣や社内の人間だけではなく、社外のあらゆる人々とコミュニケーションを取る必要があります。そのため、人と話をするのが好き、もしくは苦ではない性格が適しています。
そして最後に、経営企画の仕事は会社の経営を担うとても重要な業務ですが、決して営業のように表立って活動したり、個人で業績を上げたりということはほとんどありません。そのため、裏方でサポートを行うのが好きな人、たとえ自分が目立たずとも他の人、ひいては会社を支えることにやりがいを感じる人が、この仕事に向いていると言えるのです。
経営企画への転職を目指す方法
まずは大企業ですが、多くの場合、新卒社員を経営企画の人材候補として育てているため、中途採用から経営企画に食い込むのは難しいと言えます。また、大企業ならではの業務であるM&A、中長期計画の実務経験が要求されることも多いでしょう。そのため、大企業の「経営企画」への転職を目指すのであれば、他の企業、可能であれば大企業で経営企画の経験を積んでいること、もしくは経営コンサルティングの経験を積んでおくことが必要と言えます。
中小企業、ベンチャー企業の場合は、大企業に比べると転職成功の可能性は高まりますが、依然経験が求められるケースは多いでしょう。ただ、それぞれ必ずしも「経営企画」の経験である必要はなく、類似する業務を経験し高いスキルを持っていれば評価される場合も。たとえば、中小企業では経理の経験を積んだ社員がそのまま経営企画にも携わるケースがあります。そしてベンチャー企業では営業、もしくはマネジメント業務で高い実績を上げた社員が経営企画の一員として抜擢される場合があるのです。
そのため、もし大企業を目指すのであれば同じく大企業で経営企画に携わっていた経験を積んでおくことが必須です。そして中小やベンチャーを目指すのであれば、それぞれの募集要項や業務内容に似ている職種、業務の経験を積んでおくことが、転職を目指す方法のひとつと言えるでしょう。
まとめ
今回は、「経営企画」について解説しました。経営の深部に関わるこの仕事は、会社を左右するとても重要なものである一方、多くの場合経営層のサポートとして立ち回るケースがほとんどです。そのため、責任感や成長意欲に加え、「人や会社を陰から支えること」にやりがいを見出せるかどうかが非常に重要となります。そのため、もしも転職を目指すのであれば、資格やスキル、経験の有無だけではなく、自身の性格的な面もしっかり分析してから臨むことが大切です。
































