多くの企業で1日、入社式が行われた。新型コロナウイルス対策の蔓延(まんえん)防止等重点措置が解除されたこともあり、3年ぶりに対面で実施する企業が増えている。今年の新入社員の多くは学生時代の約半分をコロナ禍で過ごしたこともあり、〝ハレの日〟をリアルで迎えられることに喜びを語り、社会人としての門出に決意を新たにした。
「成人式も、卒業旅行も自粛が呼び掛けられる中で我慢が続いた。こんなふうに同期と集まって入社できたことが本当にうれしい」。東京都内で約290人を集めて行われた明治安田生命保険の入社式で、井元菜々子さん(22)はそう喜びをかみしめた。
同社が、すべての新入社員がそろう形で1日に入社式をするのは3年ぶりだ。片山圭子人事部長は「会社で働くうえで同期はとても大切。顔を合わせて交流する場を用意したかった」と話す。研修を含めてできるだけ顔を合わせる機会を作ろうと、事前に新型コロナの抗原検査を実施するなど準備を進めてきた。
就職情報サービスの学情が実施した調査によると、2月時点で入社式を対面式で実施すると回答した企業は67・2%(前年比6・3ポイント増)、新入社員研修も61・9%(同17・3ポイント増)と、対面式での開催が増えている。オンラインだと人間関係の構築や、社会人への気持ちの切り替えといった点で不安に感じている新入社員が多いことなどが背景にある。
楽天グループも3年ぶりに対面式の入社式を開催。式典は社内公用語の英語で進められ、三木谷浩史会長兼社長は「今年は対面で入社式をやりたい思いが強かった。インターネットは私の想像を超えたものが出てくる。新しい感覚で提案してほしい」とエールを送った。
ローソンも対面で入社式を実施。成人年齢の引き下げに伴い、1日に〝大人〟と〝社会人〟の両方の仲間入りをした神矢遥斗(はると)さん(18)は二重の喜び。「車を買いたいのでしっかり仕事をして、10代のうちにローンを組みたい」と語った。