はじめに
就職や転職活動において重要なのが、「自己PR」です。自分がどんな能力を持っているのか伝えることは、採用において企業に有用な人材であると印象付けるために欠かせません。その一方で、自己PRと同じでは? と悩んでしまいがちなのが「自分の長所」ではないでしょうか。そこで今回は、自己PRにおける強みと長所の違い、そして長所を自己PRで上手に伝えるためのポイントを解説します。
自己PRとは「自分の強み」のこと
自己PRとは、端的に言えば「自分ができることや得意なこと=強み」を伝えることです。もしくは、採用企業に対して、「自分を採用すればこのような貢献ができる、メリットがある」と自分を売り込む行為とも言えます。
一例ですが、営業職に必要なコミュニケーション能力や、事務作業に必須のPCスキルといった実務的な能力、これまでの業務経験で学んだこと、身に付けたことなどが該当します。「自分が会社にどう貢献できるか」、「業務でどんなスキルが使えるか」を伝えるのが、自己PRの目的です。
▼「自己PR」と「長所」の違いは?
「自己PRをしよう」と考えたとき、つい混同してしまいがちなのが「長所」ではないでしょうか。自分の強みと長所は、似ているようで実は少し違うものなのです。自己PRが「自分の強み、またはそれを伝えること」であるのに対し、長所は「人柄」として捉えるのが一般的です。
たとえば企業側は、「自己PR」では志望者が一体何が得意で、それを業務にどう活かせるのかなどを知るために聞く場合が多いでしょう。その一方で、「長所」は「志望者はどういう性格で、どんな考え方をする人なのか」、つまり「人柄」を把握するために聞きます。このように、一見同じようでも、それぞれ質問される意図や答えるべき内容が異なる場合があるため、違いをきちんと認識しておくべきと言えます。
自己PRと長所の両方を聞かれた場合は?
企業によっては、面接などの選考の場で「自己PR」と「長所」、その両方が聞かれるケースがあるでしょう。その際は、無理に内容を別のものにしたりするのではなく、「伝え方」を工夫して話すのが効果的です。
先ほど説明したように、両者は全く同じものではありません。ただ、たとえばコミュニケーションスキルなどの対人関係に関わるスキルは、「温厚な性格」や「人の話に耳を傾けられる」など、人柄による部分も大きいもの。そのため、たとえ同じ内容でも、強みを伝える面ではスキル、長所ではエピソードを重視することによって話の中身が変化し、過度な内容の重複を避けられます。
そして、長所はときに業務に役立つ「強み」ともなり得るもの。それぞれが異なる内容でももちろん良いですが、両方の内容をつなげることで回答に説得力が生まれ、より魅力が伝わりやすくなります。
自己PRで長所をアピールするポイント4つ
「それぞれの違いはわかったけれど、できれば長所を強みとして伝えたい」と考える方もいるでしょう。ここからは、長所を自己PRとして伝える際に気をつけたいポイントを4つ解説します。
1.応募企業に関連する長所をアピールする
自己PRにおいては、自分の強みや長所をしっかり把握するための自己分析が欠かせませんが、同時に「企業研究」も不可欠です。自己PRは、企業に自分を売り込む側面を持つもの。そのため、企業がどんなスキル、そして人柄を持つ人材を求めているのかをきちんと理解しておく必要があるのです。
たとえば、求められるPCスキルや資格などはわかりやすいですが、「真面目に物事に取り組める」や「スピード感をもって仕事ができる」など、企業によっては求める人物像も存在するケースがあります。よって、自分の長所が「企業が求めるもの、業務に関連するものかどうか」をきちんと確かめた上で内容を考えるとよいでしょう。
2.一つの長所に絞る
「長所」や「強み」と考えると、つい自分の良い所やアピールポイントをいくつも伝えたくなりますが、伝える長所は原則として一つに絞るべきです。
一つのPRに長所が複数だと、それぞれの中身が薄くなってしまうだけでなく、何を一番アピールしたいのかが採用担当者に伝わりにくくなってしまいます。結果、「どれが強みなのかがわかりにくい」と評価されてしまう場合も。そのため、長所は一番伝えたいものひとつを軸にするべきです。
3.エピソードも添える
長所をアピールするのであれば、その長所を見つけたきっかけや活かせた場面など、具体的なエピソードと共に話すとよいでしょう。内容に具体性が生まれ、より説得力が増します。
たとえば、「〇〇の場面でこの長所を活かして行動し、良い結果につながった」や、「業務の中でこの長所があることに気付いた」など、自身の経験に基づいた内容にするのがおすすめです。最後に、応募先の企業でどのように活かすかも伝えることで、担当者がより入社後をイメージしやすくなります。
4.長所と短所はセットで考える
「自分には長所がない!」と悩む方もいるかもしれませんが、「長所と短所は、表と裏の関係である」と聞いたことはないでしょうか。この言葉のとおり、長所と短所は視点が変わっただけの同じもの(セット)だと考えると、長所も見つかりPRの内容が考えやすくなります。
一例ですが、「考えすぎてしまい行動するまでに時間がかかる」のが短所だと自覚していても、それは視点を変えれば「何事にも慎重に、注意深く動ける」という長所になり得ます。短所と思い込んでいる癖や行動も、しっかりと自身を見つめ直し考え方を変換してみると、このように長所や強みが発見しやすくなるのです。
長所を用いた自己PRの例文
ここからは、先ほど解説したポイントを踏まえた上で、長所を軸にした自己PRの例文を2つ紹介します。
▼例文1
私は、仕事の上司や同僚、友人などから「温厚な人」と言われることが多く、私自身も長所であると思っています。そしてこの長所を、業務においても強みとして活かしてきました。
現職では事務職として、データの処理や手続きだけでなく、資料の作成等を通して他の部署とも連絡や連携を取る場面が多々あります。その際、丁寧に接しつつも普段通りに朗らかで柔らかい態度や言動を心がけた結果、他部署の様々な方から「一緒に仕事がしやすい」との評価を受けました。貴社の事務職員として採用された暁には、社内外問わずこの長所を活かしたコミュニケーションを心がけ、円滑な業務の遂行に努めたいと考えています
▼例文2
私の長所は、常に冷静に、かつ物事を慎重に熟考した上で行動できるところです。業務において、この長所を活かして勤務してまいりました。
現職では、私はSEとしてお客様の社内システムの設計や管理を担当しています。社内システムは、1か所でもミスをしてしまえば全体の動きに支障が出てしまうものです。そのため、私は業務において焦ることのないよう納期を設定した上で、二重、三重のチェックを行った上でお客様に納品することを心がけました。結果、私が担当した案件において重大なトラブルは発生しておりません。この長所を活かし、貴社の業務においても、常に慎重かつ冷静に業務に取り組みお役に立ちたいと考えております
まとめ
今回は、「長所」を自己PRとして伝える際に気をつけたいことや、その例文について紹介しました。
最初に説明したとおり、「強み」と「長所」は厳密には異なるものです。しかし、長所を業務において活かした経験を伝えるなど、工夫次第で立派な強みとしてアピールできます。そのため、もし長所を強みとしてアピールしたいならば、伝え方はもちろん、きちんと一貫性のある内容を考えるとよいでしょう。
































