はじめに
会社の事業の要となる商品やサービスの品質向上に欠かせないのが「マーケティングリサーチ」です。転職を考えている方の中には、このマーケティングリサーチの仕事を目指したいと思う方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、マーケティングリサーチを行う人、すなわち「マーケティングリサーチャー」の仕事内容や将来性、転職するための方法について解説します。
マーケティングリサーチとは?
まず、マーケティングリサーチとはいったい何をするのか見ていきましょう。「マーケティング」とは、世の中の動きを捉え、その動向やニーズに見合った商品やサービスを開発し提供することです。そして、提供した商品、サービスに対して、世の中や消費者がどのような反応を示したのかを調査し、より満足度を高めるための課題などを見つけるのが「マーケティングリサーチ」なのです。
たとえば、マーケティングにおいて発生しやすい課題は、以下のようなものがあります。
- どんな人々をターゲットにするのか
- 商品やサービスは、利用者の満足につながっているか
- 提供する新商品の価格
- 競合商品や他サービスとの差別化
- サービスの提供、商品販売において、PRやイベントの効果の有無 など
市場調査を通して、これらの課題の発見、および解決するための業務や活動が、マーケティングの目的です。
マーケティングリサーチャーの仕事内容
ここからは、マーケティングリサーチを担う人、すなわち「マーケティングリサーチャー」のより具体的な仕事内容について紹介します。マーケティングリサーチャーの仕事は、大まかにわけると以下の3つです。
1.市場調査
まずは市場の動向を調べ、誰に向けたどんな商品、サービスを開発すべきかを決めます。消費者のニーズを探るために、インターネットや街頭に限らず、ときに電話やファックスなど幅広い手段を用いてアンケートを実施し、商品のアイデアやターゲット選定の参考にするのです。
調査を通してターゲティングが完了したら、よりターゲットの需要を満たせる機能やサービスを考案・企画します。すでに競合商品やサービスがあった場合、競合と自社の商品をどう差別化するか考えるのも、この市場調査の結果が不可欠です。
2.商品やサービスの企画・開発
市場調査により対象となる消費者層、そして商品やサービスの内容が決まったら、次はより詳細な商品やサービスの企画・開発に移ります。
たとえば、購買意欲を高めるネーミングや手に取りやすい価格設定など、より商品を購入してもらうためのアイデアを練るのがこの段階です。商品の魅力がきちんと伝わるよう、パッケージなどを考案するケースも。
3.導入後の市場調査
この仕事は、「商品やサービスを提供したら終わり」ではありません。マーケティングリサーチャーにとって、提供した商品・サービスが実際に市場で売れているかどうかを調査するのも大切な仕事のひとつです。
もし競合と比較して自社商品の売れ行きが乏しいなどの課題が見つかった場合、再度ブランディングや販売商品・サービスそのものの改良が必要となるため、決して欠かせない業務であると言えるでしょう。
マーケティングリサーチャーに求められるスキル・資格
マーケティングリサーチは、「市場調査」が主な仕事。そのため、市場に関する膨大な集計データを管理、分析するためのPCスキルは必須です。そして、担当する業界や分野に対して、専門知識だけでなくより深掘りして調査するという好奇心や探求心が求められます。
また、調査においてはときにアンケートだけでなくインタビューを行う場合も。その際、相手が安心して話せる雰囲気づくりや会話術など、高いコミュニケーションスキルが必要となるでしょう。そして、調査・分析した結果は最終的に報告書としてまとめる必要があります。そのため、内容を的確にわかりやすく伝えられる論理的説明力や文章スキルも欠かせません。
マーケティングリサーチャーになるための必須資格は特にありませんが、統計や社会調査のノウハウ、経済や流通に関する知識を持っていると業務に役立つでしょう。これらの知識は、資格取得の勉強を通して深めることが可能です。そのため、知識や実力のアピールを兼ねて以下のような資格を取得しておくのもおすすめと言えます。
- Webアナリスト検定
- ウェブ解析士認定講座
- マーケティング・ビジネス実務検定 など
マーケティングリサーチャーに向いている人
ここからは、マーケティングリサーチャーに向いている人の特徴について紹介します。1つめは、「トレンドに敏感であること」です。新しい商品の企画には、その時代の流行やニーズに合ったものを作る必要があります。そのため、今何が人気なのか、何が求められているのかを敏感に察知できる人が適しています。
そして2つめは、「客観的な思考ができる人」です。マーケティングリサーチには、商品やサービスを活用する「消費者」の目線に立ち物事を考えられるかが重要になります。そのため、自分の考えに固執せず、必要に応じて相手の立場や全体の目線で物事を考える客観性のある思考力が求められます。
最後に、マーケティングリサーチャーは「コミュニケーションを取ることが好き」かどうかが、向き不向きを大きく左右すると言えるでしょう。どんな仕事においても一定のコミュニケーション能力は求められるものですが、この仕事においてはより顕著です。商品開発や調査において、他部署との連携や社内外での打ち合わせ、消費者の声を聴くことは不可欠であるためです。よって、人とのコミュニケーションが苦にならない、もしくは好きな人がより向いていると言えるでしょう。
マーケティングリサーチャーの将来性
マーケティングリサーチの市場は、現在は未だ成長途上にあるとされています。その理由は、日本の市場において「商品」のマーケットと比較すると、マーケティングリサーチの規模はまだ小さく、商品市場の全てを網羅するには未だ足りないと考えられているためです。
ただ、成長途上にあると言ったように、マーケティングリサーチ業界はその「伸びしろ」に注目されています。現在はITの技術革新やスマホ、SNSなどの普及が目覚ましく、「マーケティングの効果」がこれまでより目に見えやすくなっています。これらITを活用したマーケティングや市場調査はこれからも発展が見込まれているため、マーケティングリサーチャーにも将来性は充分あると考えられるのです。
マーケティングリサーチャーへの転職を目指す方法
まずは、経験の有無に限らず、マーケティングリサーチに関わる部門を持つ会社の求人を探すとよいでしょう。たとえば、リサーチ会社やコンサルティング関係の企業、商品開発や販売を行う大企業などの求人には、マーケティングリサーチャーを募集している場合があります。すでにマーケティングリサーチャーとしての職務経験があれば、その経験を強みとしてアピールするとよいでしょう。
未経験の場合ですが、先ほどもお伝えした通り、マーケティングリサーチャーの転職市場では、実務経験や知識にもとづく即戦力の人材が求められます。そして、マーケティングリサーチは企業の販売戦略において要となるため、「未経験可」自体の募集が少ない場合も。
そのため、もし未経験から転職を目指すのであれば、マーケティング部門だけでなくまずは営業職などで市場調査に近い職務を経験し、営業職からマーケティングリサーチャーへのキャリアチェンジを目指すのも方法のひとつです。
もしくは、経験はなくとも資格を取得しておくと、知識を持っているという証明になるでしょう。企業のマーケティング職に求める業務内容によっては、選考においてのアピールポイントになり得ます。
まとめ
開発した商品やサービスが適切に提供され消費者に届くことは、消費者の生活や満足度の向上につながるだけでなく、企業の利益向上にも関わるポイントと言えます。よって、マーケティングリサーチャーは、ときに企業の社運をも左右しかねないとても重要な職種と考えられるでしょう。そのため、転職を目指すのであれば、自身のマーケティングにまつわる経験や知識をしっかり洗い出し強みとしてアピールすることが大切です。