九州大がDX人材育成、農業や食品分野で強化

    九州大学は、農林水産業や食品などの分野でDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進できる人材の育成を加速する。農業などの現場ではデジタルに精通した人材が不足しているといい、DXの知識や技術力を高める教材を開発し、ICT(情報通信技術)を活用するスマート農業や、ゲノム編集などを牽引(けんいん)する人材の輩出を目指す。

    九州大学農学部に新たに設置される交流スペースの模型と設計した学生
    九州大学農学部に新たに設置される交流スペースの模型と設計した学生

    九大によると、農学部の学生や農学系の大学院生らを中心に、情報処理や解析に関わる教育を充実する。農場実習では、現実空間と仮想空間を融合する「XR」技術を用いた体験型学習の機会を設け、実社会における課題をプログラミングやデータ処理を活用して解決する力を育てる。

    九州大学付属農場の園芸エリア。効率的な栽培方法を学ぶ場として活用されている
    九州大学付属農場の園芸エリア。効率的な栽培方法を学ぶ場として活用されている

    大学院農学研究院長の中尾実樹教授は「農業はDXを導入することで根本的なイノベーションが可能になる。1年生から大学院まで、それぞれのレベルに応じたDXプログラムを用意し、人材が不足している現状を打破したい」と述べた。

    DXをめぐり、九大は昨年11月、九州経済連合会や福岡県などと連携し、「九州DX推進コンソーシアム」を設立した。デジタル技術を活用した経済発展の実現に向け、九大は専門知識を有した人材育成の役割を果たす。

    九大農学部は大正8年4月に全国3番目の農学部として設置され、昆虫や植物の遺伝子研究など、ユニークな学問で他大学をリードしてきた。昨年4月には、福岡県粕屋町から伊都キャンパス(福岡市西区)に付属農場が移転し、23ヘクタールという国内有数の広さを誇る大学内農場が誕生した。

    石橋達朗総長は記者会見で「環境や食料の分野で農学系の研究は今後も非常に重要だ。広大な農場を活用し、スマート農業をはじめ最先端の農業をリードしたい」と語った。

    農学部では、平成31年に迎えた創立100周年の記念事業の一環で、学生が設計した交流スペースの建設を計画している。来年春の完成を予定しており、建築物には九大付属演習林の樹齢98年のスギの大木を活用する。(一居真由子)


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