市も観光活用を検討
赤平市の令和3年度上半期の観光入り込み客数は10万4千人。コロナ禍で地元観光施設の臨時休館などが影響し、前年同期比では11・9%減だ。
市商工労政観光課で産業振興を担当する柴田尚さんは、この落ち込みを上向きに転じさせるアカデミー賞受賞効果を狙い「話題が旬なうちに赤平をPRする策を考えたい」と観光活用への思いを語る。
国内では多くの自治体が映画やアニメ作品などのロケ地を歩く「聖地巡り」を観光に活用しているが、赤平市のズリ山は現状のままでは難しい。ズリ山周辺が冬季の雪捨て場で、その雪が夏まで残り危険なため、通年で立ち入り禁止にしているからだ。映画撮影時は初冬で雪がなく活用できたが、ロケ場所を通年で観光活用するのは困難という。
「今のところはズリ山頂上につながる展望広場までの階段途中にロケ地の案内看板設置などを考えているが、観光協会などとの検討を急ぐ」(柴田さん)としている。
映画には出てこなかったが、ズリ山の元となる炭鉱がすぐ近くにあり、「炭鉄港」(北海道の炭鉱・鉄道・港湾とそれらを結ぶ鉄道)として日本遺産に登録されている。「炭鉄港」構成文化財の一つである赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設学芸員の井上博登さんは「ロケ地効果で来館者が増えれば、多くの人に日本遺産のことも知ってもらえる」と期待を寄せている。(坂本隆浩)































