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【ビジネスパーソンの必読書】情報工場「SERENDIP」編集部

春から初夏の陽気に。街の人出も多くなったが、コロナ禍は収束したわけではない。対策と活動の最適なバランスを考えたい。

『入門オルタナティブデータ』
『入門オルタナティブデータ』

金融領域で活用

『入門オルタナティブデータ』渡辺努、辻中仁士編著(日本評論社・1980円)

オルタナティブデータとは、主に金融領域で財務情報や経済統計のように伝統的に使われてきたもの以外のデータを指す。その性質や有効性などを、実際の活用事例を基に解説。

具体的には、スーパーやコンビニなどのレジで収集されるPOS(販売時点情報管理)データ、クレジットカードデータ、位置情報、衛星画像などがオルタナティブデータと呼ばれる。

短いスパンでの変化を確実に捉える「速報性」と、あらゆる角度から詳細に情報が得られる「網羅性」に優れているという。

例えば新たに開発された消費統計「JCB消費NOW」はクレジットカードのリアルタイムの詳細な使用状況を捕捉する。このデータを活用しコロナ禍で変化した消費スタイルが、収束後も継続するかを分析したところ「以前のスタイルに戻るケースが多くなる」との仮説が導かれたという。

どれだけバイアスやノイズを回避できるかが、オルタナティブデータの信頼性のカギになるのだろう。

「元寇」の遺物も

『水中考古学 地球最後のフロンティア』佐々木ランディ著(エクスナレッジ・2420円)

沈没船など、海や湖の底に眠る遺跡の探索・調査・分析を行う水中考古学。日本ではなじみの薄いこの学問分野について豊富な事例とともに詳しく解説、可能性と魅力を伝えている。

長崎県松浦市の鷹島は、日本の水中考古学の聖地なのだという。鎌倉時代中期の「元寇」終(しゅう)焉(えん)の地とされており、周辺の海底からは平成2年以降の調査で武器・武具類、中国陶磁器など2000件におよぶ遺物が発見されているそうだ。

中でも興味深いのが、海底に数本が並んだ状態で発見された、船のイカリとそれをつなぐロープだ。その向きで、船を留めたときの風向きが分かり、元寇を追い返した「神風」の正体である台風の進路が推測できる。そこから、その時のモンゴル船の様子がありありと想像できるのだという。

開発の及んでいない深海では、地上よりも保存状態の良い遺跡が見つかることもある。歴史的発見が生まれるか否かは、水中考古学がどれだけ注目されるかにかかっている。

社会課題の解決に

『Just Money 未来から求められる金融』カトリン・カウファー、リリアン・ステポネイティス著、江上広行監訳、大濱匠一訳(金融財政事情研究会・2200円)

SDGs(持続可能な開発目標)時代に注目すべき金融として「ジャスト・バンキング」と名付けられた銀行の事例を紹介。利益追求ではなく社会課題や環境問題の解決を中核的なミッションとする銀行だ。

例えばオランダのトリオドス銀行は、西ヨーロッパ全域で社会的課題に取り組む事業やプロジェクトへの投融資を中心事業としている。同行のアプリには全ての法人顧客名がオープンになっており、預金者は自分のお金が誰に、何のために融資されているかを知ることができる。

ジャスト・バンキングの市場シェアはまだ小さく、金融そのものを改革する力にはなり得ていない。ただしこれらの銀行は、社会における金融の根本的な役割に対し問題提起を行っていると著者。フィンテックなどの技術革新と連動した発展を期待したいところだ。


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