【知財ビジネス】伝説の発明家語る「創造は欲求探しから」

    大手電機メーカーで銀行ATMの磁気システム関連技術を開発し、莫大(ばくだい)な特許収益を上げたという伝説かつ今も現役発明家の長田正範氏(81)に誰もができる創造の基本を聞いた。子供の創造力を伸ばすためにも、大型連休期間中に親子で発明に挑戦してみてはどうだろうか。

    長田氏は創造力を「人または社会に対し、自分は今後、何をしてほしいと感じているのか。または何をなすべきだと思っているのか。それはどのような資源をもってしたら満たされるのかを新たに考える能力だ。誰もが持っている」と説く。

    長田氏が説明する資源とは、人・物・情報のことで、欲求を満たすために使われている。人はまず、自分の頭や身体を動かして欲求を満たす。仮に知りたいという欲求があったとすれば、人は自分の脳を使うだけでなく、辞書という物、インターネットという情報を創造し、そこから知識を得ようとする。このように欲求は、これら3つの資源に対して生理的かつ社会的に生じるものだ。とりわけ、創造という進化の過程を経て、また新たな欲求は生まれる。

    例えば「自販機から出るスチール缶とアルミ缶の空き缶分別」が人の手作業だったため、これを行う家族の作業を軽減させてやりたいという欲求から、小学5年生が鉄分を吸着させる「磁石」という物を生かし、「空き缶分別箱」(特許5792881)という発明をした。

    長田氏は創造の手順を①まず身の回りで自分が感じる欲求を洗い出す②それを満たしてきた資源を調べる③自分なりに掘り下げて新たな資源を考える-とする。その上で、「新たな欲求さえ見いだすことができれば、インターネットという情報資源を使い、子供でも多くのことを調べられる」と言う。現代は創造に適した環境にある。

    日本の創造力が問われている。1年間の特許出願は29万件。日本には11歳から22歳まで1300万人もいる。彼らに創造性発揮の方法と機会を与えれば、きっとすごいことが起きるだろう。(中岡浩)


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