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滋味あふれるジビエ おいしくたべて「SDGs」

牛に豚、鶏…。肉料理は数多いが、たまには違った趣向も味わいたい。近年、扱う飲食店が増えているのが「ジビエ料理」だ。感染症などのリスクがあるイメージも強いが、安全な食肉を提供するため、衛生管理の取り組みが全国で進んでいる。

溶岩プレートで提供される「ジビエ焼肉」。多種多様な肉のうまみが楽しめる=東京・渋谷の「米とサーカス 渋谷パルコ店」(川口良介撮影)
溶岩プレートで提供される「ジビエ焼肉」。多種多様な肉のうまみが楽しめる=東京・渋谷の「米とサーカス 渋谷パルコ店」(川口良介撮影)

ジビエは狩りによって獲られたイノシシやシカ、クマなどの野生動物の食肉。近年、自治体などによる有害鳥獣対策が加速する中で、捕獲した動物を食材として活用する動きも強まり、取り扱う店舗が増えている。

その一方で、しばしば指摘されるのは衛生面の不安だ。野生動物であるだけに、細菌や寄生虫による感染症のリスクは避けられない。

農林水産省は平成30年、加工施設に対する「国産ジビエ認証制度」を設け、イノシシとシカを対象にジビエの品質管理に乗り出した。猟の際の血抜きに使うナイフの消毒に始まり、認証後も監査を行う。安全なジビエ製品の流通が狙いで、同認証を受けた施設は全国で29カ所(今年3月現在)に達した。今後も増加が予想される。

安全対策もさることながら、ジビエ料理浸透の背景には他の要因もありそうだ。

東京都内で3店舗を展開する居酒屋「米とサーカス」は豊富な種類のジビエを取りそろえる。開店当初は不調だったというが、運営会社の宮下慧さん(37)は「今はファミリー層や若い女性のお客さんも多い」と話す。

ジビエを食べるきっかけはさまざま。近年、宮下さんの目につくのは、モデルやアスリートの影響でジビエに挑戦する人だ。「低脂質で高たんぱくなことから、筋肉づくりやダイエットに有用としてモデルやアスリートの間で人気が広がっている」(宮下さん)。さらに、駆除した動物を食肉として活用するという特徴から「『SDGs』(持続可能な開発目標)を意識して食べる人も多い」という。

同店はイノシシやシカといった定番から、クジャクのような変わり種まで幅広く取りそろえる。早速、シカ、イノシシとクマ、アナグマを焼き肉で食べてみた。シカはくせがなく、滋味にあふれている。脂と肉のバランスがとれていたのがイノシシ。アナグマは脂がとろけ、濃厚な味が口に広がった。同店では焼き肉のほかにも「鹿ハンバーグ」(930円)などの商品も用意している。

魅力は味だけではない。

宮下さんは「シカはカロリーが牛の3分の1で鉄分は3倍。イノシシはビタミンBが豊富だ」などと健康への効果もアピールする。

今年4月に発表された農林水産省の調査によると、捕獲された野生のシカ、イノシシ約135万頭のうち、食肉として処理されたのはおよそ1割の12万頭程度だ。年々、増加傾向にはあるが、まだまだ野生動物をジビエとして活用する余地は残る。宮下さんは「命をそのまま廃棄するのは悲しいこと。ちょっとでもおいしく食べてもらえれば」と話した。

農林水産省によると、食材となる野生鳥獣肉をフランス語でジビエ(gibier)という。食文化を豊かにしてくれる味わい深い食材として、また、山間部を活性化させてくれる地域資源として、期待されているという。

同省は普及に努めており、ホームページ(HP)に「ジビエ利用拡大コーナー」を設けている。平成28年度からはジビエの普及啓発の一環としてジビエ料理コンテストも実施。令和3年の第6回では農林水産大臣賞に「柔らかく仕上げたシカ肉のロースト 色とりどりの野菜添え、芋煮の季節を感じて」が選ばれた。

入賞した料理のレシピはHPで紹介しているほか、一部は料理レシピサービス「クックパッド」にある公式の「農林水産省のキッチン」でも公開している。

同省では、安全にジビエ料理を楽しむため、中心部まで火が通るようしっかり加熱することや、接触した器具を消毒することなどを呼びかけている。(内田優作)


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