『イギリスの飾らないのに豊かな暮らし365日』江國まゆ著(自由国民社・1700円)
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海外へ行くと、その土地ならではの素晴らしさを感じるとともに、自分が住んでいる場所の優れたところを発見するのはままあることでしょう。渡航先の有名な観光地や名物は旅をする上での大きな楽しみですが、その土地で暮らす人たちの日常の何気ない一コマは、また違った感慨にふけらせてくれます。自由に海外旅行ができなくなって久しいですが、世界中のあらゆる街で続いている人々の営み、そのほんの一握りを伝える本ができたら…。そんな願いのもとに、生活者の目線から英国の365日を描いたこの本が生まれました。
『不思議の国のアリス』などの作品で知られるイギリスの作家、ルイス・キャロルが作った〝unbirthday(誕生日以外の日)〟という言葉には、特別ではない一日も楽しもうという意気を感じられ、ずっと心に留めていました。昨年3月にフランスの暮らしを紹介した本を刊行し、次にイギリス版を考えた時、このunbirthdayという言葉を思い出し、現地に長く住む江國まゆさんに執筆を依頼しました。
英国の暮らしに息づく哲学、食文化、生活習慣、行事、風物詩などが1日1ページずつ、写真とエッセーでつづられています。今日の日付からでも、自分にとって特別な日からでも気軽に読めて、見落としがちなことや小さな幸せに気づかせてくれます。自分の誕生日から読み始め、それ以外の日も含めて今よりもっと一日一日を大切にできたらすてきですよね。
(自由国民社編集部 上野茜)