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【アジアの今】バンコク知事選、タイ経済を反映

来年3月までに実施されるタイ総選挙の前哨戦と位置づけられた首都バンコクの知事選が今月22日に投開票された。当選したのは2014年5月の軍事クーデターで政権を追われたインラック内閣の元運輸相チャチャート氏(55)。2位に入ったスチャチャウィー氏(民主党)以下に100万票以上の大差をつけた圧勝だった。有権者は「新時代への幕開け」や「変化」を掲げた新知事に今後の4年間を託した。

チャチャート氏はタイの最高学府チュラロンコン大学を卒業後、米国で博士号を取得した元学者。インラック氏の兄、タクシン元首相派のタイ貢献党出身ながら選挙戦は無所属で戦い、政党色は極力抑えた。だが、選対幹部にタクシン氏の末娘が就いたことや同時に行われた都議選で同党が第1党となったことからも、同派の支持があったことは明らか。初めての投票を迎えた60万~70万人の若者票も流れ込み、地滑り的な勝利を収めたとみられる。

新型コロナウイルスにより深い痛手を負ったタイ経済にとって復興は急務の課題。特に、収入を奪われた圧倒的多数の低所得者層にとっては、今後の経済のかじ取りが最大の関心事だった。与党第1党の親軍政党「国民国家の力党」が事実上推す前知事のアサウィン氏が第5位と惨敗したのも、鉄道や港湾施設の建設といったハード面を優先する施策が敬遠されたとの見方が強い。洪水対策やバスの増便といった生活に直結する新知事の公約が評価された。

タイ貢献党は次期総選挙に向け、都議会第2党となった野党前進党などとの連携を強化する。コロナで疲弊した多数の有権者を味方にできるかが最大の焦点で、そのための政策を打ち出すものとみられる。くしくも約20年前、タクシン氏が国民皆保険制度のタイ版「30バーツ医療」政策を掲げて、政権を奪取したときと状況が似ている。次期総選挙はタイ経済の行方と連動しながら展開されることになる。

(在バンコクジャーナリスト・小堀晋一)


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