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【本ナビ+1】俳優 寺田農『上岡龍太郎 話芸一代 増補新版』 芸を文章で立体化する試み

『上岡龍太郎 話芸一代 増補新版』戸田学著(青土社・2420円)

『上岡龍太郎 話芸一代 増補新版』
『上岡龍太郎 話芸一代 増補新版』

「芸は一流、人気は二流、ギャラは三流、恵まれない天才、上岡龍太郎です」

今から22年前、平成12年4月に引退した上岡龍太郎が好んで口にしたキャッチフレーズである。

本書は、25年に刊行されたものに、今回、上岡自身がその芸を構成するうえで大きな影響を受けたとする漫談家の西條凡児、落語家の桂米朝についてのインタビューを新たに収録し、増補新版として出版された。

上岡は高校時代からジャズ喫茶の司会で活躍しているところを横山ノックに誘われ、トリオ漫才「漫画トリオ」結成に参加、横山パンチの芸名で演芸界デビューする。8年後にノックの参議院選挙立候補を機に上岡龍太郎と改名し、以後ラジオのディスクジョッキー、テレビの司会、漫談家などで関西を中心に活動。

「辛口の社会風刺と流麗な独特のリズムのある語り口で独自の芸境を確立」した上岡は、昭和62年から放送された「鶴瓶・上岡パペポTV」のブレイクをきっかけに全国区のタレントとして活躍する。

著者は「上岡龍太郎の芸そのものが、いかに文化的で、特異で、ユニークなものであったのか」を本人の証言や関係者のインタビュー、膨大な資料を交じえながら「芸そのものを、少しずつ可能な限り文章として再現し、記録、研究してゆきたい」と書く。

漫談から上岡流講談へ幅広い話芸を目指しながら、また藤山寛美や米朝らの支援を受けての劇団結成など、ひとり芸から集団での芝居の世界にまで広げていくのだが…。

著者の、上岡の話芸を文章で立体化するという試みが読み手には伝わってくる。早すぎる引退すらも理解できる。

巻末のQRコードで上岡流講談の傑作「ロミオとジュリエット」が楽しめるのもうれしい。

『随筆 上方落語の四天王 松鶴・米朝・文枝・春団治』戸田学著(岩波書店・2640円)

昭和に入って漫才の飛躍などで存亡の危機にひんした上方落語を復興させたといわれる「四天王」への敬愛と、その芸の洞察。

「大阪の古今亭志ん朝」の章もある。志ん朝がいかに大阪を好んだか、大阪の落語家がどのように志ん朝を受け入れたか。特に六代目笑福亭松鶴との交流など、そこには東京では見せない、上方を愛した志ん朝の素顔が見える。

てらだ・みのり〉 昭和17年、東京都生まれ。映画、ドラマなど多数出演。元東海大学文芸創作学科教授。現在、板橋区立美術館運営協議会会長。



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