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【知財ビジネス】露「非友好国」の知財差別 退けはしたが…

ウクライナ侵攻を続けるロシアは今後、経済制裁を行う欧米・日本など「非友好国」が持つロシア国内の知的財産を保護しなくなる、との臆測が流れている。背景には3月にロシアの裁判所(1審)がキャラクターの商標侵害訴訟で英国企業の訴えを非友好国を理由に却下したことがある。その後、特許の強制実施(リスク対策などの緊急時に政府が国内企業に対し権利者の同意なく特許の利用を許可すること)時の補償を非友好国へはする必要がないと決めたこともある。

しかしモスクワにあるロシア唯一の知財裁判所は5月20日に非友好国への差別を打ち消すべく判決を下した。ロシア企業がイタリア企業に対して起こした商標不使用による登録取り消し訴訟で、非友好国の企業の知財は保護はされるべきではないと主張するロシア企業に対し「非友好国を理由に法廷で求められる証拠を出さなくて済むわけではない」とし、イタリア企業を勝たせた。知財裁判所は連邦内裁判所が下す知財訴訟判決の統一を促す役割がある。

国際知財実務や知財マネジメントの専門家(弁理士)で、知財を専門とするロシア最大の法律事務所のアドバイザーを務める黒瀬雅志氏は「ロシアの法学者、弁護士など多くの知財専門家は非友好国か否かを判断根拠に含めることに反対している。最高裁も今後、この判決を覆すことはまずないと思われる」との見方を示した。

だが外国企業にとっては懸念解消とまではいかないのが本音だろう。諸外国の特許情報分析に詳しい発明推進協会の幡野政樹氏の調査では、特許協力条約に基づくロシアへの国際特許出願は世界全体で2010年の1万2529件から19年は8568件に、日本の出願は1517件から814件にそれぞれ減少した。この間の14年にはロシアのクリミア併合があった。幡野氏は「欧米企業も出願を減らしている。経済安全保障推進法成立もあり、日本企業はロシアへの特許出願にさらに慎重になっていくのではないか」と話している。(中岡浩)

なかおか・ひろし 法大法卒。金融専門紙記者、金融技術の研究を行う財団法人などを経て、知的財産に関する国内最大の専門見本市「特許・情報フェア&コンファレンス」の企画や、知財に関する企業取材に従事。ジャーナリスト。高知県出身。


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