【ワシントン=塩原永久】米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は29日、インフレを押さえ込む金融引き締めを進めながら、雇用鈍化を回避することは「より難しくなっている」と述べた。景気の維持とインフレ退治の両立が「目標だ」とする一方、達成できる「保証はない」とも言及し、物価抑制を優先する姿勢をにじませた。
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パウエル氏は欧州中央銀行(ECB)が開いた討論会に出席。「力強い労働市場を維持しながら、(目標とする)2%の物価上昇率に回帰する道筋はある」と語り、約40年ぶりの高さを記録したインフレの制御を急ぐ考えを示した。
一方で同氏は、ロシアによるウクライナ侵攻後、食糧やエネルギーなどの価格上昇圧力が、一段と高まっていると説明。FRBは景気後退を避けながら、大幅な利上げによって物価高を改善する「軟着陸」を目指しているが、「その道筋は狭まっている」と認めた。
ただ、「米経済は実際のところ非常に力強い」と強調。家計には十分な貯蓄があり、企業の倒産も極めて少ないと説明し、景気を引き締める利上げに耐えられるとの従来の見方を改めて示した。