「軽から撤退考えていない」
三菱自不正・会見詳報(2)三菱自動車の益子修会長と相川哲郎社長は11日、燃費データ改竄問題で記者会見し、軽自動車からの撤退を否定した。
--5回にわたって(燃費数値が)上げられたことは、現実的にみても達成が困難であると認識していながら、現場から上がってくるものを承認していたわけですよね
相川哲郎社長「そこは認識していなかった。役員に上がってくるときには…」
《会場から「声がちょっと小さいですが」》
《マイクが入っていなかったため、会長のマイクを借りて続ける》
相川社長「会議に上がってきた時点では、これこれこういったエビデンスがあり、こういう目標が達成できるというところで、そこで承認という形をとる。ということで知り得なかったというのが実態でございました」
--現在販売している9車種も測定方法に疑いがあると書かれてありますが
相川社長「調査と並行しまして、実際に正しい測定方法での燃費も測定しております。その範囲では届け出た燃費との乖離(かいり)はほとんどございませんでした。したがって、軽4車種と違いまして販売・生産停止に当たらないと考える」
--三菱グループの金曜会が開催予定ですが、支援の実現性を含めてどういう感触をお持ちか
益子修会長「支援については、今のところ具体的に話をしているということはありません。2015年度の決算までは比較的順調にやってきたので、今はなんとか自分たちの力でやっていけるのではないか。少なくともグループにここで何かお願いする状況ではないと考えております」
--今後の保証金も含めて自社でまかなえるという計算か
益子会長「今のところはキャッシュフローについては何とかやっていけると思っております」
--再建の過程で、国内の軽自動車からの撤退は検討課題か
益子会長「軽自動車は、国内総販売台数の4割。私たちにとっても、販売店にとっても非常に重要な車でありますし、お客さまにとっても軽自動車の存在は非常に大きいのでこれから撤退するということは考えておりません。また従来通り、日産自動車さまと共同でやっていければいいと思っておりますが、今後よく打ち合わせをしたい」
--国交省も販売の継続を現時点で認めているのか
相川社長「私独自の判断でやっております。現行軽自動車4車種を停止したのも私たち独自の判断でやっております。国交省の指示を受けてやっているものではありません」
--業務委託先とのコミュニケーションを十分に行っていなかったとはどういうことか
相川社長「業務委託先と申しますのは、私どものエンジニアリングを担当する100%子会社、三菱自動車エンジニアリング(MAE)に開発業務の一部を委託しています。そこの担当レベルと当社の委託をした性能実験部のコミュニケーションがよくなかった」
--どのようにしてデータ改竄が行われたのか
横幕康次開発本部長「100%子会社はMAEと略称で申しますが、ここで軽自動車の燃費開発をしていた管理職の人間が開発を進めていまして、そのなかで行われていたというところまでは確認しております。ただ、周りの人間に対して、どこまでの広がりがあったか調査中」
--4車種以外の車種について現状言える範囲のことは?
横幕開発本部長「4車種以外では、当社のRVRにおきまして机上計算で算出したものがあるということが疑われています。というのは、持っているわれわれのデータと届け出たデータとの比較において疑われているという状況を確認しています。どういう内容があったのか、またRVR以外にも点検しており、迅速に調査して報告したい」
--指示した人はいないのか
横幕開発本部長「今のところは確認されていませんが、申し上げました通り、今後、どういう展開が出てくるかは申し上げられません。走行抵抗を操作した過程におきまして、(MAEの開発担当者)本人はなんとか達成できるのではという思いで開発を進めていたということです」
--今の説明だとMAEが単独でやったかのような説明に聞こえる
益子会長「MAEがやった、下の人がやったということではないと思っています。現場の問題はそうかもしれないが、それを知り得なかったのは経営の問題です」
--子会社と親会社で力関係があったのでは
横幕開発本部長「これまでも一緒に開発してきた。顔見知りであり、そういう力関係という状態ではなかったと思っている。そこも第三者委員会の調査も進むなかで分かってくると思います」
--MAEで改竄されたものを報告を受けているのか
横幕開発本部長「相談しております。最終的な走行抵抗値について、どういう場所でどういうデータを取るかを、三菱とMAEで相談をする。その際に、今般のデータ確認についてはタイで行っている。タイは温暖な地域ということで、これまでも実績があり、そのなかでデータをどう取ろうかと相談している」
--走行抵抗値を相当改竄しないと性能7%の乖離はおきないはずだ
横幕開発本部長「それは間違いありません」
--だったら、(担当者はなぜ燃費数値を)達成できる言い切れるのか
横幕開発本部長「私が達成できるということではなく、MAEの実務をやっている人間がこの抵抗値は達成できると考えて開発したということです」
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