「具体的に言えない」「調査中」「答えられない」 歯切れ悪く

三菱自不正・会見詳報(3)
会見する益子修会長(中央)ら=11日午後、東京都千代田区(撮影・春名中)

 三菱自動車の益子修会長と相川哲郎社長は11日、燃費データ改竄問題で記者会見した。

 --そもそも不正はいつからあったのか

 横幕康次開発本部長「まず現行生産車種から調べており、その他の車種の調査はこれからだ。現時点ではまだ具体的には言えない」

 --MAE(子会社の三菱自動車エンジニアリング)が試験を行っているが、三菱自動車本体ではしていないのか

 横幕開発本部長「今回の車、4車種については(MAEに)委託をした」

 --なぜ組織の中でわからなかったのか

 益子修会長「2004~05年の不祥事で徹底的に調べたつもりだったが、その後もいくつかの問題を起こしている。SUV開発においても重量問題で不正が行われ、今回は車が出てしまってから発覚し、問題の根が非常に深いという思いがある」

 益子会長「一つには『非常に閉鎖的な社会の中で仕事をしている』のが大きな問題だと思うし『新しい事をやることに挑戦しない』、つまり『今までやってきたことをすれば、過去にオーソライズ、正当化されたものであり間違いない』と。個人的な印象だが、そういう面があったのではないか」

 --開発目標はだれが決めるのか

 益子会長「プロジェクトをまとめている人間が技術陣に目標打診を行い、『これなら達成できる』というメニューを技術陣が出す。そうしたキャッチボールをする。先程申し上げたが、何もメニューが存在せず、数字だけが独り歩きしたわけではなく、裏付けできるメニューがあって開発を進めていた。しかし走行抵抗値のチェックが、身内の中で十分でなかった」

 --データ改竄はどの過程で行われたのか? MAEに委託した後「達成できない」とわかってから不正を行ったのか

 横幕開発本部長「担当者は最終盤まで『達成できる』と考えていたようだ。『タイに行って、温暖なところならそういう性能が出せるだろう』と」

 --走行抵抗値の中央値をとらずに低い値をとった点が不正だと思うが、これを認識していたのは誰か。MAEだけでなく本体の人間もか

 横幕本部長「MAEだけでなく本体にも認識していた人間がいるのではないかと考え、調査している。調査しているので断定的に話せる状況ではない。子会社にどれくらいの人数がいるかも調査中で、申し上げられない」

 --誰が低い値をとろうと主導したのか

 横幕本部長「明確に答えられない」

 《歯切れの悪い答えに、質問している記者がいらつく》

 --不正の背景に「軽自動車の燃費競争が厳しかったから」という答えが前回会見であったが、ではRVRなどについてはどんな背景があったのか

 横幕開発本部長「現時点では、データと実測値の乖離をチェックしている。その乖離が大きい車種については『ひょっとしたら』ということで徹底調査をしている」

 《質問が交錯し、やり取りが十分かみ合わない場面も出てきた》

 《記者数人が同時に質問し、どちらに答えればいいか困って見回す場面も》

 --発表文に「RVRなど」と書いてあるが、何車種あるのか

 横幕開発本部長「まだいえない。RVRは、現行車種について確認を進めている。『不正があったようだ』ということで確認を進めている」

 相川社長「軽自動車については、4WD化したときに実測せず、2WDのデータを補正して出した車があった。それが過去の車種になかったかを確認している。データだけ見てもわからないので、当時の担当者に聞かないとわからない。それで手間取っている」

 --全容解明にこれだけ時間がかかれば、顧客の皆さんも不安と思うが

 益子会長「こういうことになって大変申し訳なく思っている。できるだけ早く解明して生産再開に結びつけたいと思って努力しているが、聞き取り調査に時間が非常にかかっている。最終的には今月18日までに、早く全容を説明できるようにしたい」

 --「再発防止の道筋を付ける責任」だが、スケジュール感をどう考えているのか。その後は引責辞任するのか

 益子会長「経営の安定に向けた道筋がすぐつくとは思っていないし、時間がかかると思っている。思い切ったことをやらなければと思っているし、そうすると摩擦も大きいだろう、そうした摩擦も解消する必要があるので、時間軸は申し上げづらいが、何年もかけていては会社の安定につながらないので、できるだけ早くやらなくてはと思っている。現時点で具体的に申し上げるのは難しい」

(続く)